ドニーさんにハマり、初期の作品から観ているファンの方は分かると思うのですが、自分で企画したり撮ったりしている作品は、究極の“俺俺ドニー作品”ばかり。そう、ドニーさん自身が好きなのは“俺俺ドニー作品”なのです。
興行的に上手くいかないものも多かったようですが、やりたいことをやっているその突き抜けた勢いはすごいです。それが、時を経て、年齢を重ね、求められる役柄に潜没するように自分を表現した結果、まさに花開いた、という感じがあります。
何より、ローグ・ワンのチアルート役の後に「トリプルX:再起動」、この流れにもう感極まってしまうのです。ドニー・イェン、53歳。ジャッキーやジェットは早々にハリウッド進出を果たして成功しているので、「遅れてきたブレイク」「遅咲き」とも言われているけれど、いいえ、とっくに咲いていました。
ただ、咲いてはいたけれど、ドニーさん本人の思っている咲き方ではなかったのだろうと思います。自分のやりたい事をやりたい表現で進むには、それだけの強力な地力がなければ決して成せない。
「トリプルX:再起動」はまさに、ドニーさんの求める“俺俺ドニー作品”が、世界で自他共に受け入れられ、そして開花した作品であるのです。