• MV_1120x330
  • MV_1120x330

背筋がまったく凍らない異色のおすすめゾンビ映画3選

加藤広大 加藤広大


LoadingMY CLIP

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

zombie_main

【簡単】すぐ分かるゾンビ解説

ゾンビゾンビと言っていますが、そもそもゾンビとは何なのでしょうか? これを知ることにより、「ゾンビ映画観ようぜ」と相手にプレゼンした時の強度が増すはずです。ゾンビの特徴やゾンビに襲われた時の対処法、ゾンビと化してしまった場合のメリット、デメリットなどを熱っぽく語るあなたに相手は「ゾンビって・・・いいかも!」と興味津々になることでしょう。

ゾンビと聞くと、今では生肉と生き血を求めてのろのろ徘徊し、噛まれた生き物もゾンビになってしまうというドラマ「ウォーキング・デッド」に登場するゾンビを想像しますが、これは後世に作られたゾンビのイメージです。

ゾンビはもともとアフリカの精霊信仰『ヴォドン信仰』から生まれたと言われています。ヴォドンでは、不思議な力を持つものは『ンザンビ(Nzambi)』と呼ばれていました。しりとりの最終兵器として使えそうなこのンザンビ。これが後にアフリカの奴隷貿易によって運ばれて来た奴隷たちによってカリブ海地域に伝えられ、現地のカトリックや様々な宗教と混合し、ブードゥー教が誕生します。その過程で『ンザンビ』も転じて『ゾンビ』へ、その意味も不思議なものから人智を超えたもの、化物の類と変わっていったそうです。

ブードゥー教、そしてゾンビがどのように世界に広まったのかというと、1915年にアメリカがハイチを占領したあと、お芝居や映画などでゾンビを面白おかしく取り上げて、ブードゥーのイメージダウンを図ります。しかし、幸か不幸かエンタメ性が高かったのか、このお陰で1920年代後半にはアメリカ国内でプチゾンビブームが巻き起こります。

その裏で(というか表ですが)、当時のアメリカでは「フランケンシュタイン(1931年)」に代表されるホラー映画が大ヒットしていました。そこで、流行しているホラー映画を製作しようと画策したヴィクター・ハルペリン、エドワード・ハルペリンの手により、元祖ゾンビ映画「ホワイト・ゾンビ(恐怖城)」が世に放たれます。原作は「The Magic Island」という、アメリカの探検家、ジャーナリストのウィリアム・シーブルックの作品です。彼は実際にハイチに渡り、ブードゥー教の信者を取材したそうです。ハルペリンはこの原作を元に原初のゾンビ映画を制作します。

しかし、まだここでは現在のゾンビとは程遠い存在です。「ホワイト・ゾンビ」に出てくるゾンビは死人が蘇ったものではなく、仮死状態にされた人間なのです。正確には、こちらの方がブードゥーのゾンビとしては近いということになります。

今日の人に噛みつき、噛まれた人はゾンビになり、頭部を破壊するまでは活動し続けるというゾンビは、もう少し後、「プラン9・フロム・アウタースペース」「地球最後の男」など、後のゾンビ映画に影響を与えた作品を経つつ、ジョージ・A・ロメロの大傑作「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の登場を待つことになります。この作品に出てくるゾンビ(という呼称は自作からなのですが、分かりやすいのでゾンビと表記します)が現在に至るまでゾンビ象の基本ルールとされ、伝統として守られつつも様々な派生を生み出しているのです。

というわけで、現在はゾンビに噛まれればゾンビになってしまう。というのが一応の基本ですが、伝統的なゾンビはいかにして作られるのでしょうか? 昔からのやり方としては、ブードゥー教の司祭によっておこなわれる死者蘇生の儀式と、ゾンビパウダーなるものを用いてゾンビ化する方法があるようです。

前者はブードゥーの司祭が依頼を受け、死体が腐り始める前に墓から掘り出し、何度も死体の名前を呼び続けるとやがて死体が起き上がるので、その両手を縛って農園に売り飛ばすそうです。死人の魂は封じ込められてしまっているので、自分で考えることができませんから、永遠に奴隷として働き続けることになります。もちろん、家族はそんなことになっては困りますから、埋葬後しばらくは墓を見張ったり、動けないように死体を切り裂いておいたりと、様々な対処方法を取るそうです。

後者はテトロドトキシンが含まれていると言われている『ゾンビパウダー』を生きている人間の傷口から浸透させて仮死状態に陥らせ、前頭葉を破壊して意思の無い人間を作り出すという方法です。こちらも文句を言わない奴隷として農園などで使役されていたと言われています。

両者はあくまで言い伝えでして、実際のところはゾンビになるということは社会のルールを破った者に科せられる制裁で、簡単に言えば村八分にされるという社会的な死として扱われる者のことだったのではないか? とも論じられています。こう考えると、2016年の現在でも世界中にゾンビが存在していることになりますね。恐ろしいことです。

余談ですが『哲学的ゾンビ』という言葉があります。これは従来のゾンビと区別するために『現象ゾンビ』と言われており、オーストラリア出身の哲学者、デイヴィッド・チャーマーズが1990年代にクオリアの説明に用いた思考実験のことで、物理的化学的電気的反応としては普通の人間と・・・もういいですよね?

そろそろ本題に入りたいと思います。ゾンビ映画を観る前にこれだけ話せば、もう相手はゾンビ映画を観たくて観たくて仕方がなくなっているはずです。もし、相手が遠い目をして無気力そうな顔をしていたら、それは既にゾンビ化していることを意味します。一撃で頭部を打ち抜き成仏させてあげましょう。

前置きが長くなってしまいました。本題と言っても、百聞は一見に如かずですので、さらっと説明していきます。ゾンビ映画は観て楽しんでナンボです。大体の話が「ゾンビが出てきたさあ大変! わー! 死ぬ−! と思ったら助かった−! けどやっぱり助からなさそうー! でもやっぱり助かった−!」の以下無限ループです。

また、なるべく取っ付きやすいように、最近の映画で有名どころをチョイスしてみました。ゾンビ映画を観る時はついマイナーなセレクトをしたくなりがちですが、有名な作品は有名だと言われている意味がしっかりあるのです。デートで観るならなおさらです。また、興味があればここからルーツを遡ってみるのも、様々な発見があって面白いかと思います。

街角のクリエイティブ ロゴ


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP