そもそもお金の話
野田
渋谷さん、こんにちは。
渋谷
こんにちは。
あれ、こんにち“は”? こんにち“わ”? どっちでしたっけ?
書き文字のことは置いとこう。
映画面白かったです。
いきなり褒めてくれてありがとうございます。
登場人物がみんなダメなんですが、愛らしさがありますよね。知ったような口を利く大人たちに、それって本当なの? って投げかけている映画だと思いました。
知ったような口を利きますね。
利きます。僕らはいつの間にか子供の頃を忘れてしまって、そんな声に耳を傾けることなく大人になってしまった。最後に鴈金さんが<耳を傾けろ>と大人たちに諭すのが印象的でした。
印象的に作っているからね。
今回は渋谷さんに<映画作りのはじめの一歩>をお聞きしようとかと思います。まず何をしたら映画が作れるのか。素朴な質問ばかりになると思いますが、どうぞよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
ということで、本作はいくらかかっていますか?
いきなり金の話。
というか、お金の話しかしません。
あんまり覚えてないけれど、とりあえず50万出してます。
少なくとも僕の貯金は全額吹き飛びますね。
自分の場合、旅行もいかないし服も買わないし、普通の出費がそこまでないんだと思います。2年くらいすれば100万くらい貯まります。人によってはビジネスセミナーに300万とか使うじゃないですか? ピアノ習ったり、料理教室に通ったり。それを自分は映画に使ってるという感じです。
服とか買ってて映画撮りたいとかほざくなってことですよね。
そうとは言わないですが・・・。で、もう一人のプロデューサーが確か100万だったかなぁ。あとクラウドファンディングで50万。アメリカ側もいくらか。なんだかんだで400万くらいですね。
やはり渋谷さんくらい賞をとっているとクラウドファンディングでお金も集まりやすいんですかね。
クラウドファンディングってビジョンにお金を出すものだから、「多くの受賞歴があります。次回作撮りたいのでお金出して下さい」ではなかなかお金は集まらないと思います。「死ぬまでにひとつでいいからローレルが欲しいんです!」という方が心が動くと思うんだよね。
渋谷さん自身、出資したことはありますか?
ありますよ。なんかしつこく言われそうだなぁ〜という場合だったり、あとやっぱり友達の作品だったり。応援してあげたいからお金を出してます。
出資すると何かもらえたりするんですよね?
グッズとかを貰って嬉しいというより、お金を出すこと自体が対価というか、それで参加してることになるんだから、もうそれでいいじゃんと思います。