今作に関しては主演の小川紗良の力は絶大で、しょぼくなりそうな内容を見事に成立させています。
出典:映画.com
女優を女優で例えるのは失礼かもしれませんが小さいガッキーみたいというか、水道橋博士が「和製ジョディー・フォスター」と称するだけのことはあります。フリフリの魔女みたいな格好をしていても、イタいことにならずにむしろ眼福。
酒井監督が小川の力を信じているからか、どうせケータイで撮る作品だからか、多少イタくなりそうでも、しょぼくなりそうでも、監督の作品の中で一番エロくなりそうでも「やってしまえ」と潔さを感じます!!
そうこの映画、とても潔いのです。
鮮度のいいイサギがふんだんに盛り付けられているのです!!
出典:映画.com
ケータイで撮るという、諦めと潔さ
「ヘドローバ」も「ウィッチ・フウィッチ」も全編をスマホ(iPhone)で撮影しているわけですが、撮り方のアプローチは真逆です。
「ヘドローバ」がケータイの生っぽさを残しているのに対し、「ウィッチ・フウィッチ」ではフィルム調にして生っぽさを極力消すというアプローチです。
同じケータイで撮るというプロジェクトでもアプローチ1つで全く異なる見え方になるのが面白いわけですが、この「あえて」生っぽくする、「あえて」アスペクト比4:3のフィルム調にするという潔さは、どうせケータイで撮るのだという潔さと根底で繋がっています。
言い方を変えればケータイで撮るという諦めが、この二つの潔さを生み出しました。
小林監督に至っては、自らケータイを持って撮影していたようで、これまた潔さを感じます。監督とフレームの距離が近いのもまたケータイで撮ることの恩恵でしょうか。そこには製作委員会方式による「しっかりとコンドームをつけなさい」的な往生際の悪い口出しは介在せず、妊娠させる勢いで撮った監督の高純度な映像表現がオギャーと産み出されています。伺いを立てながら映画を作るのではなく、映画そのものが伺いなのです。
そんな中唯一、イサギ悪さ(そんな日本語ないけど)を感じたのは、両作とも有名人が出ているという部分。「ウィッチ・フウィッチ」には主役・イチゴの母親役として鳥居みゆきが出演していました。プロデューサー様の力なのかもしれませんが、監督と作品の距離感が一瞬遠ざかります。でもまぁ、映画ってそういうものか。あの人がこの役を?? ってのも面白ポイントの一つだったりするしね。どないやねん!! と関西人なら突っ込むところでしょうか、すいません。