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「ウィッチ・フウィッチ」ちょい足しエロスが見せた夢

シーズン野田 シーズン野田


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「ヘドローバ」そして「ウィッチ・フウィッチ」

「ヘドローバ」は、本物の暴走族が走り、本物の市民が市民として参加し、本当に中学生が殴られ、正面から裸を映します。内容はバリバリのフィクションではあるものの、そのような本物を使うドキュメンタリー的側面のせいか、なんだか「テレクラキャノンボール」を観たときの気分になりました。

うまくパッケージされて出来上がった大作映画とは違い、ほころびやほつれによる危うさやノイズが観ているものをヒヤヒヤさせます。なぜこんなバイオレンス映画に地元民が協力したのか? という部分も含めて、内容うんぬんとではなくプロジェクトの強さに輝きを帯びるようなそんな作品です。

地域活性化で撮られる生ぬるい映画とは真逆の仕上がりです。

そんなにうまい役者が出ているわけでもなく(失礼!)、というか素人? ばかりが出まくる「ちゃん」としてなさが、得体の知れない祝祭感と昨今の邦画に対する無自覚な批評性をジリジリと放電させています。これ、映画館で見たら盛り上がるよなぁ〜と思いながらPCで観ていましたが、実際映画館では笑いが巻き起こり大変盛り上がったそうな。

そういえば「テレクラキャノンボール」もまた、謎の一体感で場内が大いに盛り上がっていました。自分が目撃者になったような、時代に立ち会ったような、そんな感覚なんだと思います。

さて、「ウィッチ・フウィッチ」です。

本作についていうのなら、そのような盛り上がりは正直感じません。

・デジタル感満載の魔法表現。

・ミニマムでチープな、やり方ばかりが見える特撮

・ 魔女と狼男のラブコメファンタジー

・ 二次元かよと思わず突っ込みたくなる容姿の悪役

という、箇条書きにするとなんともつまらなそうな要素がてんこもりです。ここに「男女の中身が入れ替わる」という要素が入っていなくてホッとするばかりですが、これらのしょぼくなりそうなテレ東の深夜ドラマ的要素が、全編をフィルムルックにすることで全てが好転し、むしろ作品のエッジとなって立ち上がっているというなんとも絶妙なバランスなのです。この映画もまた、なかなか得難い手触りでとても面白かった。

フィルムルックにするだけなら、そこらの自主映画でもしばしばやられるわけですが、これがいわゆる安っぽい自主映画と異なるように感じるのは、役者の力が大きい気がします。

というのも、自主映画ってやっぱり役者が微妙なんですよ。いやまぁ、断言はしませんが、でもまぁ微妙なことが多いです。そこかしこでブスが美人役で出ているねじれが起こっています。自主映画あるあるですね。スタッフの友達だったり、友達の友達だったり、友達の友達のアルカイダだったりを起用するだけなので、仕方ありません。

昔付き合っていた彼女の映画に「もっと可愛い子を出しなよ」とアドバイスしたら「え? かわいいじゃん」と喧嘩になったことがありましたが、そもそもオーディションをするような気合はなく、ただただ映画を撮るというのが目的なので当然です。それはそれで美しいことだとは思いますけど。

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