バッグ一つで列車に乗り込み、日常とは別世界の風景を眺めながら小一時間。人気のない駅を降り、雪道をサクッサクッと歩き、趣のある温泉宿の暖簾をくぐる。見慣れない地方局のテレビをなんとなく見ながら、窓から望む雪化粧に心を落ち着かせ、畳の匂いを吸い込みつつゆったりと過ごす・・・。
なんて夢のようなシーンに想いを馳せて夜更けにネットで宿の検索をするも、時すでに遅し。師走も半ばに入ればどこも満室、満室。おお! 空室発見! とクリックすれば予算を大幅にオーバーした豪華な部屋だったりする。ダメだ、今年も終わった。宿探しに遅れを取った者に残された道はただ一つ、寝正月。いや、寝正月は言い過ぎかもしれない。
ただ確定しているのは、まぎれもなくヒマであること。盆と正月、あれは金銭的に余裕のある富裕層がおもいっきり充実して過ごせる休暇だと思っている。段取りが悪い上に金もない負け組は家に引きこもるか近所をぶらつく程度のお楽しみしか残されていないのである。
そこで、何度となくこのヒマすぎる年末年始を余儀なくされている負け組常連が培った、あれ? 意外とその辺でやり過ごすのもいいんじゃない?と思った体験を紹介したい。