彼女は、ややムキになって
彼女「知らないからだよ、今の就活。そんなの聞いたことないし。私、夏のインターンで電話も取ったけどちゃんとできたし、就職したらやれるから」
彼氏、相変わらず目深にキャップを被り、イスに斜めに座りながら、
彼氏「そういうことじゃなくて、電話で印象って変わるでしょ、実際。人事の人は、何人にも電話して相手がどんな反応だったか、気にしないということは無いと思うよ。それ、分からないかな、採用の電話なんだよ?」
言うね~、彼氏。仰ること、賛成に一票です。やっぱり社会人かな、経験に基づいた説得力ある感じ。
この後しばらく押し問答。正当化したい彼女と、シンプルにそれ違う、と言う彼氏。決して険悪ではなくて少し笑いもありながら。
結局、彼女が納得したようで、
彼女「分かりました、以後そうします。ホントか分からないけど」
とおさまって2人仲良く店を出て行った。いい奴だな、彼氏。いい彼氏で良かったね、彼女。
2人の会話を聞いてあらためて気づいたのは、電話で伝わる情報には「不確定要素」が常に存在しているのだということ。同じ言葉でもそれがポジティブな意図なのかネガティブな意図なのか、口調や声色次第で相手の解釈は180度変わってしまう可能性がある。やや怖くもあるけれど、逆に好意を伝えたい時などは電話ならではの工夫もできる。この不確定要素をどれだけ自分寄りにアレンジできるかどうか、それが真のコミュニケーションの力ということなのだろう。
さて、コーヒーも飲み終わったので、こちらも出掛けますか。心地よい時間をありがとう。
- 1
- 2