• MV_1120x330
  • MV_1120x330
  • MV_1120x330

「これから書く力はどう応用できるのか」電通コピーライター阿部広太郎さんに聞いた。

西島知宏 西島知宏


LoadingMY CLIP

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

トップライター、編集者の講義を通じて「これからのライター、これからのライティング」が学べる「明日のライターゼミ」。先日公開した田中泰延さんのインタビューに続いて、講師の一人である電通の阿部広太郎さんに、そこんとこ聞いてみました。

広告業界におけるコピーライターの役割の変化

西島
今日はよろしくお願いします。

阿部
こちらこそ、よろしくお願いします。

まずお聞きしたいのが、阿部さんがコピーライターになられた2009年と今とで、仕事内容に変化があるのか、ということなんです。

それはもう、とてつもない変化があった気がします。2009年当時は、コピーライターが関わる広告のアウトプットとしては、ほぼマス4媒体だったので、今に比べると携わる領域は限定的だったかもしれませんね。その後、デジタルがすべての前提になり、今はコピーライターであれプランナーであれ、肩書きを問わず広告キャンペーンの全体を設計できる人が重宝される時代になりました。

「コピーライティング」という作業においては何か変化がありましたか?

この10年、広告手法が多様化しましたし、情報量も爆発的に増えましたよね。なので、「そもそもそれって本当に必要?」という潜在的な疑問に応える大義や意志を言葉で定義する必要性が増した気がします。コピーライターが表現の本質的な部分に、より責任を持たなくてはいけなくなったと言えるかもしれません。

最近の広告会社では、クリエーティブ志望の若手が昔のようにコピーライターを目指さなくなったと聞きました。

そうなんですよ、近頃は「コミュニケーションプランナーになりたい」という若者が激増してるみたいです。

new_new_2017

どうしてコピーライターを目指さなくなってしまったんですかね?

狭く見えているのかもしれませんね・・・コピーライターの仕事が。グラフィック広告やテレビCMの言葉パートを埋める人みたいな。だからキャンペーンの全体像を設計するクリエイターとして役割が確立したコミュニケーションプランナーやコミュニケーションデザイナーになりたいという若者が増えたのではないでしょうか。

なるほど。SNSなんかで「言葉を作ること」がより身近になって「言葉なんか勉強しなくても簡単に作れる」という意識があるんですかね?

それもあるかもしれません。あと、私はコピーライターとして基礎の足腰を作るのに最低でも3年はかかると思ってるんです。ただの3年じゃなくて、もぐってあがく3年です。SNSを開けば、華々しい仕事報告を見ちゃったり。それを待っていられない世代というのもあるかもしれません。

阿部さんがクリエーティブ局を出た理由

阿部さんがクリエーティブ局を出て、コンテンツビジネスの部署に移られたのはどうしてですか?

私が広告会社を志望したのは「世の中に一体感を作りたいから」だったんです。「一体感のはじめのイチを作るのは、一つのメッセージだ」ということをコピーライターとして思っていたのですが、広告の仕事を10年続けてみて感じたのは、「広告はアンカーだ」ということなんです。

商品やサービスを作る前や、その過程には加われないということですか?

確かに今は状況も変わって、商品を企画したり、新事業そのものを考えたり、生み出したりするような仕事が広告会社の中にも増えてきました。でもまだまだアンカーの仕事が大半です。最初から一緒に走りたいなと思っちゃったんです。それに自分自身、音楽や映画やエンタメコンテンツが大好きで、だってライブとか一体感そのものじゃないですか。今は、コピーライター出身のプロデューサーとして、監督や、アーティストと、企画開発に駆け回る毎日です。

なるほど。鮮やかにアンカーを決める美学、を持っているクリエイターも広告会社には多いと思いますが、阿部さんはある意味で、言葉の技術をもっと川上へ広げて行きたいと思われたのですね。

机の上で完結する仕事だからこそ行動力が大切

阿部さんは「行動力」という言葉をよく使われますよね。私は阿部さんを見ていて「これと決めたら成功するまでやる」つまり「継続力の人」とも言えるなと感じているのですが、その馬力というか「行動力」「継続力」を支えているものって何なんですか?

シンプルに「続けてる人が勝ち」だと思ってるからです。「成功している人がなぜ成功しているか? 成功するまでやってるから」という話があるじゃないですか? 僕あの話大好きなんです。

私なんか、やっぱり何かをやる時に、経験則から先に「成功するか、しないか」を考えてしまう所があるんですが、阿部さんが「続けていれば成功する」と考えるようになったきっかけみたいなものはありますか?

アメリカンフットボールですかね。アメフトを始めた15歳の頃、私、実はかなりの根暗だったんですよね。

見えないですね。慶応でアメフトをやるような人って、生まれながらにしてスクールカーストの上の方にいる人かと思っちゃいますけど。

いやいやいや! 本当に根暗だったんです(笑)。でも、アメフトを始めて変わったんです。メガネのガリガリから、コンタクトのムキムキに(笑)。見た目の変化だけじゃなくて、8年間続ける中で、続けていけばいくほど新しいことに気づいたり、新しい自分に出会えるという経験をしたんですね。工夫のある継続はとても価値があるぞ、と思ったきっかけです。

だから、仕事もそうだと「信じられる」わけなんですね。

2009年からコピーライターを続けて、所属する部署も、やっている仕事も変わったんですが、自分の中では「言葉の人である」「言葉の仕事を続けている」という意識は変わってないんです。

まさに私が「明日のライターゼミ」をやろうと思ったきっかけです。ライターは言葉を武器にもっと色々できる、それを気づいて欲しいという。

new_new_2017

阿部さんを見ていると「行動する」が「仲間を作っていく」ことだとも思えます。

おっしゃる通りです。自分一人でできることは限られている、だから行動して、それぞれ取り組む領域は違うけど、同じ志で取り組んでいる仲間と出会うんです。それをずっと続けています。

コピーライターとして培ったスキルの発揮先

阿部さんはコピーライターとして培ったスキルを、今後どのように活かしたいと考えられてますか?

先ほどの話とも重なるのですが、やはり自らが言葉を扱うプレイヤーとしてコンテンツという求心力の塊を作りながら、それを一人でも多くの人に広めていくことをやりたいです。

例えば経営者の人に寄り添って、コピーライターの整理する技術、一言で定義する技術で力を発揮していくということもできると思いますが、そういう働き方は考えていませんか?

もちろん、コピーライターは既存の役割の延長線上で考えると、今後ますます経営者と二人三脚で川上から川下まで付き添っていくという動き方をしないといけないと思います。でも私は、伴走しながら共に作り出したいんです。新たな川そのものをつくることにチームで挑みたいと思う気持ちが強いですね。

コピーライターは、新しい組み合わせを作るプロとも言えるので、組み合わされていなかったコンセプトを生み出す、つまり新しい川を作るのも得意分野と言えるかもしれませんね。

「書く」を仕事にするために必要なこと

「書くプロ」に必要なことは何だと思いますか?

書くプロになるために、聞くプロにならないとダメだと思います。

というと?

私は「書く」ことは、世界をふるいにかける行為だと思っているんです。聞く力がある人は、他者の言いたいことや本質を導き出せる人で、真っ当に世界をふるいにかけられる、つまり輝きのある文章を書ける人だと思っているんです。

「書くことは世界をふるいにかける行為」か。面白いですね。田中泰延さんが先日仰っていた「相手に敬意を払う」「客観性」という話に、非常に通じる部分を感じました。

明日のライターゼミへ向けて

「明日のライターゼミ」では、コピーライター、編集ライター、Webライターが、自身と違う「書く人」から学び、自ら考えることで、自身の事業領域やポテンシャルを拡げていくためのきっかけ作りができればと思っています。そういう意味で、阿部さんが受講生に伝えたいことはありますか?

一人一人が「書く力をどう応用していけるか」を考えられる場になればいいですね。これから世の中がどうなっていくか、本当に予測がつかないです。未来をつくる筋書きを自分で書いていくしかない。また、自分の向いていることと自分の好きなことを重ね合わせると、自分の可能性が広がっていくということも経験をもとに伝えられればと思います。

本日は、色々とお話し頂き、ありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。

編集後記

阿部さんの話を聞いて感じたこと、それは、阿部さんは挑戦の人であり、それを挑戦だと思っていない人だということだ。努力や行動を日課のように楽しみながら続けて、続けているからいつか必ず成功する。「言葉で自分は何ができるか」を日々考え、考えると同じくらい行動している。まさに「明日のライター」を感じる人だった。

そんな阿部さんにも「明日のライターゼミ」にご登壇頂きます。コピーライターとしてのキャリアに悩んでいる人だけでなく、書くことを仕事にしているすべての人が「明日のライティング」を学べます。
 
阿部広太郎の講義タイトル「言葉の人であり、行動の人でありたい」
(1)這い上がるために、泥水をすすった3年間
(2)企画書で自分の仕事をつくる、つくりつづける
(3)言葉の企画(たとえばとつまりでコピーは書ける)
(4)コピーライター、企画プロデューサーという働き方

※1期の募集は終了し、現在2期生の募集中です。講義内容は異なりますので、下記募集ページをご確認下さい
 

 
関連記事:
「調べること」と「売り込むこと」がライターの仕事だと、田中泰延は言う。
これからの「ライティング」を考え、学ぶ3ヶ月限定講座を開催します

街角のクリエイティブ ロゴ



  • このエントリーをはてなブックマークに追加


TOP