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少女漫画好きの「エロのポテンシャル」を検証してみた

ユーコ・ノラ ユーコ・ノラ


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たかが「キス」するまでの長い道のりで焦らされたい

少女漫画では、作中に登場する男女が紆余曲折がありながらも段々と親密になっていきます。そっと手を握る。甘い言葉を囁く。抱き合う。そしてキスをする。現実世界でいえば、これといって特別なことではありません。しかし、少女漫画愛好家たちは全く特別ではないこの一連の過程を、息を飲みながら本一冊に数十分をかけてじっと目で追い、そして見守ります。いや、じっくりと時間をかけて舐め回すように眺めるのです。しかも読み進めてはまた戻り、読み進めてはまた戻りを繰り返します。1歩進んで2歩下がるどころの話ではありません。

たかが絡みのシーンをもっと価値あるエロいシーンにしたいがために、わざわざ遠回りしてその物語の背景をしっかりと読み込む。ここまでエロに忠実で真面目な読者が一体他のどこにいるというのでしょうか。

そして読んだあとはそっと目を閉じ、回想に浸るのです。

エロ本のような“完全なエロ”を望んでいるのなら、エロ本を読めばいいだけのこと。しかし、少女漫画愛好家達はそれをしません。なぜなら少女漫画愛好家達は、コマに描かれていないエロを“脳内補完”で見たいからなのです。

完成形のエロは不要。己の脳内で完成させるのだ

少女漫画愛好家達は、モロ見えのエロ本やひとつなぎの大秘宝を仲間とともに見つけにゆくスペクタクルロマンではなく、平凡な男女が平凡な毎日の中で織りなす現実にはありえない『非凡なエロ』を求めます。そして脳内でそのエロを自分好みに変換させていきます。

このポテンシャルが少女漫画好きには備わっており、読めば読むほどに、それは研ぎ澄まされていくのです。

どうでしょうか。ここまで言ってもなお「私はエロに興味がありません」と言いながら少女漫画を読んでいる人間がいたら、思いきり鼻フックをかましてあげましょう。「目を背けるな、お前はすでにこっちの人間だ」と。

一年分の「エロ」を連発したところで、今回もご拝読ありがとうございました。

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