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広告用語で「シンデレラ」を読んでみた

西島知宏 西島知宏


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むかしむかし、ジャストアイデアでシンデレラと呼ばれているF1の美しい娘がエンゲージメントを構築できずに暮らしていました。

ティザー期は貴族の娘だったのですが、ローンチ後は引き取られた意地悪な継母と連れ子である二人の姉にパワハラを受け、まるで媒体局の新入社員のように扱われていました。

ある時、クライアントのご子息が城で盛大な打ち上げを催すことになり、二人の姉はヘアメイクとスタイリストを手配しメルセデスのロケバスで出かけていきました。

シンデレラも行きたかったのですが「人数を絞ってくれ」というクライアントオーダーがあり連れて行ってもらえませんでした。

悲しくなったシンデレラは泣き出してしまいました。

すると、彼女に「シンデレラ」というネーミングを与えた「仙女」と呼ばれるクリエイティブディレクターがどこからともなく現れ、営業局で余っていたチケットとお得意の商品を手配してくれ、シンデレラは打ち上げに参加できることになりました。

スチール撮影でタレントが着たドレス、CMの大道具として使ったかぼちゃの馬車、流通向けのサンプリングとして作ったガラスの靴です。

最後に、仙女はシンデレラにディレクションを効かせました。

「テッペンを回ったら、馬車もドレスも靴もクライアントに返さなくてはいけない。
必ずお尻を確認しなさい・・」

「なるほどですね」

シンデレラは、大喜びで打ち上げ会場へ出かけました。

さて、「東京無線」と書かれたかぼちゃの馬車で、打ち上げ会場「城」に到着したシンデレラは、たちまちクライアント一族とエキストラにハイクオリティなユーザーエクスペリエンスを提供しました。

クライアントのご子息は、シンデレラのシズルに感動しコリオグラフに誘って愛のコピーをナレーションしました。

「今度うちのCMに出してやろうか?」

破格の出演料、白い犬との共演など、夢のようなオファーの数々に、シンデレラはフィージビリティも確認せず舞い上がり、香盤が狂っているのを忘れていました。

気がつくと、時計はオーガニックにテッペンを周り始めていました。

「アジェンダを守らなければ」

仙女と握った約束にコミットしたいシンデレラは、もらったタクチケを握りしめエイヤで駆け出しました。
シンデレラと名刺交換を済ませていなかったご子息は「あと1分いい?」と引き留めましたが、
「ニュアンスはアグリーです」

そう言い残しNRしてしまいました。後にはウェアラブルしていた美しいガラスの靴が片一方だけ取り残されていました。

ご子息は女性のペルソナを設定し、各エージェンシーをピッチにかけることにしました。「4月のオンエアまでに靴の持ち主を探せば、インセンティブとしてキャンペーンのバジェットを預ける」と。

女優、アイドル、女子アナ、モデル、年契の高い者から順にオーディションしましたが、コンセンサスの取れる女性はNot Foundでした。シンデレラの姉たちの番になり、姉たちはガラスの靴を履こうとベストエフォートしましたがコンバージョンできませんでした。

そこへシンデレラが歩み出て、フィッティングの許諾を得ようとしました。

義理の姉たちはレギュレーション違反を訴えましたが、ご子息の「すべての娘にフィッティングさせるように」とのオリエンを守り、マネージャーはシンデレラにもフィッティングさせてみました。

するとガラスの靴とシンデレラの足は、まるで電通と電通テックのようにぴったりアライアンスを構築できました。

マネージャーは「この方こそ築地CIAだ」と叫び、シンデレラを「城」へ連れていきました。

ご子息とシンデレラは、数日後に電通ホールで式を挙げ、参加者全員に電マンが配られました。

その後、心優しいシンデレラは仁義を切ってきた義理の姉たちを許し、たいそうWin-Winに暮らしましたとさ。

おしまい。

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