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お天気お兄さんに恋して【連載】松尾英里子のウラオモテ

松尾英里子 松尾英里子


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暑い。暑い。本当に暑い。朝起きた時点で、すでに気温は熱中症警戒レベルに到達。それでも子どもはやっぱり外で遊びたいらしい。仕方ないので乳児を家族に預けて息子だけ連れ、ちょっとだけ近くの公園へ。でも、セミの抜け殻探しの前に、こっちが水分カラカラ抜け殻状態になり、やむなく帰宅。すると今度は涼しい室内で、エネルギー溢れる2歳児の相手が始まる。駆け回り、ソファーで飛び跳ね、時々勢いあまって墜落して「いたい~」と言う。そりゃ痛いだろうよ!
さらに、駐車券ごっこ。何のことはない、息子がミニカーを持って私の所へ来て、私が、もう使わないポイントカードを渡しながら「駐車券をお取りください」「ご利用、ありがとうございました」と繰り返す、という、なんのひねりもない遊びである。でも、意外と疲れる。結果、私は外にいるのと同じくらい抜け殻。

ああ、どうか明日は今日よりほんの少しだけでも涼しくなりますように。そしてちょっとでもお友達と外遊びして、エネルギー発散できますように。七夕でもないけれど、毎晩夜空を見上げて願ってしまう。

そんなこともあって、最近はたぶん私史上かつてないくらい天気予報をよく見ている。もちろん、どの局もだいたい同じことを言っているのだが(違っても困るな)キャラクターにカメラワークにちょっとした演出、よーく見てみると結構楽しいことに気付いた。

中でも気になってたまらないのが、夜8時直前にNHKでやっているお天気コーナー。NHKらしく、とってもシンプルで見やすい。でもそれだけではそこまで気にはならないだろう。何が私をそんなに惹き付けるか。それは、気象予報士の斉田季実治(さいたきみはる)さんに他ならない。これまでの人生、誰かを目当てにチャンネルを合わせることはほとんどなかった私が、テレビの前にいそいそと行きNHKを見るのだ。どれほど気になっているか、お分かりいただけるだろう。もはやこれは恋の領域である。

そこで今回は、誠に勝手ながらいつものコラムとはちょっと趣向を変え、斉田さんの素敵ポイントを3つ挙げてみたい。

斉田予報士の素敵ポイント①ソフトな声質

斉田さんは、声が優しい。落ち着いた、柔らかい声質だ。それが夜8時のちょっとお疲れ気味ママにはたまらなく心地よい。勝手なイメージで、しかも伝わるか伝わらないか微妙な例えで恐縮だが、出汁の香る、温かいうどんみたいな感じなのだ。ああ、なんて体に優しい。滋味深い。もしこの時間に元気いっぱいハリのある声で伝えられてしまったら、それは晩御飯にコーンフレークを牛乳なしでパリパリと食べるようなものなのだ。

斉田予報士の素敵ポイント②楽しそうでもなく、つまらなそうでもない

私もかつて天気予報を伝えていたことがあったが、天気コーナーでどういう表情をするか、実は悩みどころだった。というのも、天気の受け止め方は人それぞれ。「明日は遠足、晴れて嬉しい」という子どももいれば、「農作物のために、ちょっとでも雨を! 」と願いながら天気予報を見ている農家の方もいるかもしれない。考えすぎといえば考えすぎだろうが、カメラの向こうの視聴者の方を思えば思うほど悩むことだった。特に女性アナウンサーは、放っておけば自然と笑顔になりがちだ。キュっと口角を上げて、穏やかな表情を作ることは慣れている。だからこそ逆に、楽しそうでもなく、つまらなそうでもなく、ごくフラットな感情で伝えるのは難しい。斉田さんはいつも極めて淡々としていて、そこが素敵だ。

斉田予報士の素敵ポイント③いい意味で、裏切る

よく見ている方ならご存知だと思うが、斉田さんは時々メガネで登場する。「オシャレ眼鏡かな?  コンタクト忘れたかな? 目の具合悪いのかな?」などと、様々に憶測させておきながら、次の日にはノー眼鏡で出演する。「え! 昨日のメガネはなんだったの!?」と、こちらはますます気になる。
また、ハラハラさせてくれる時もある。つい先日、熱中症対策の話をしている時のこと。水分補給をするようアドバイスをする斉田さんのテーブルの上には、3つの水が入ったグラス。そして斉田さんは、グラスを1つずつ順に持ち上げながら「寝る前に1杯、トイレに起きて1杯、朝起きて1杯」と言い、最後のグラスの水を、なんとごくごくと飲み始めた!
ごくごく、ごくごく・・・。水はどんどん減っていく。そして、テレビマンなら誰しも恐れる無言の状態がどんどん続いていく。ああ、大丈夫かしら。もうすぐ『ためしてガッテン』が始まる。「それまでに飲みきれるのかしら。飲み終わらずに、バツンっと気象コーナーが終わってしまうのかしら。いや、そういう演出なのかしら。それにしても、いくら水と言えども一気に飲むのは大変。もし飲むなら一口だけでよかったのに。大丈夫かな大丈夫かな・・・」無言状態と水の減り具合に、私はハラハラドキドキしっぱなしだ。ちなみに斉田さんは見事に水を飲み干し、むしろ数秒時間が余ったくらいの余裕があった。こちらの勝手な心配を、表情ひとつ変えずあっさり覆す。してやられた感がある。
この他にも、ある日はスーツの襟がひっくり返っていたり、またある日はジャケットを脱ぐ演出をした後、再度着るのか着ないのか迷っている素振りを見せたり、とにかく目が離せないのだ。

以上、3つの素敵ポイントを読んで、斉田季実治さんが気になった方は、ぜひとも今夜チャンネルをNHKに。きっとあなたも斉田さんの虜になるはずだ。

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