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夫が、育休をとります【連載】松尾英里子のウラオモテ

松尾英里子 松尾英里子


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娘が産まれて、約50日。
季節の移り変わりをなんとなくは感じていたけれど、もうそんなに時間が経っていたらしい。文字通り、3食昼寝付き、さらに、偶然にも地元の友人たちに会えたりした楽しい入院生活は、はるか遠い日の出来事になっていた。2人育児も、少しずつ慣れてきた。相変わらず毎日の2人の寝かしつけには苦労しているが、私は私で、新しいワザも身につけた。

それは、
座って右手に妹を抱き、
左手で兄の足裏を揉みながら、
私自身は左右にゆらゆら揺れ、
2人を同時に寝かせる、
というもの。

2歳児でも足裏マッサージは気持ちいいらしい。そういえば、あのイチロー選手も運動能力向上のために、毎日お父さんに足裏をマッサージしてもらっていたんだっけ。足裏マッサージで眠りについてくれて、しかも運動神経も刺激、母と子のスキンシップにもなる、妹も満足。一石二鳥、いや、三鳥、四鳥だな、なんてことを考えながら、毎晩、モミモミゆらゆらしている。毎日の試行錯誤が産み出した、2人寝かしつけ法だ。
 

さて、そんな話の途中に唐突だが、夫が育休をとる。
厳密に言うと、このコラムがUPされるときには、育休中なはずだ。

遡ること9ヶ月、第二子妊娠を告げたその時、「僕、育休とろうかな」と、もう既に夫の気持ちは決まっているようだった。元来、超がつくほど仕事熱心な夫だ。仕事を休むのに、多少の心理的抵抗はあるだろう。休んだ場合の同僚の方々への影響も、容易に想像できる。ただ、長男の出産に立ち会ったことや、その後の育児や成長の過程を経て、第二子のときには育休を取ろうと思ったのかもしれない。また、土日は基本、家族で過ごし、子どもの誕生日には会社を休む人もいるような、アメリカ的家族第一主義生活を見たり味わったりする中で、夫の中の「家族」への考え方が変化してきたのかもしれない。(ちなみに、アメリカでは立ち会い出産が一般的。産まれた直後には、夫がへその緒を切った。付き添いの人が泊まれる施設も多く、我が家も夫が毎晩、宿泊した。ただし、二泊三日で退院だったが)
それともノーメイクに眼鏡、なりふり構わぬ落ち武者のようなボロボロな妻の姿を見せすぎてしまい、育休を取らねばまずいと思わせてしまったか…。いや、そうでないと信じたい。夫の心はわからないが、妻である私にとってみれば、猫の手も借りたい毎日。猫じゃなく、人間の手を借りられるなんて、そりゃ、有り難いに決まっている。

まず、物理的に助かる。
ひとりで赤ちゃんを抱き続けないで済む。落ち着いてご飯が作れる。ドアを開けないでトイレに行ける。(恥ずかしいけど、事実!)課題の寝かしつけだって、新技・モミモミゆらゆらを繰り出さずに済む! それにもう一つ、精神的に、大人の話し相手がいてくれるのは、とても救われる。これは、「大人」であることが絶対条件。他愛ない会話で気分が変わるのももちろんだが、子どもとの会話にはまず使わない単語や話題が出てくるのが良い。これが、脳みその刺激になり栄養になり、ひいては心のエネルギーになる。脳内チャージ、大事だ。

期間は2週間。それに、前後の公休日をプラス。最近話題の放送作家 鈴木おさむさんの育休が1年。単位が違う。でも、毎年の夏休みの2年分。そう考えると、なんだか、何でもできる気がする。そして、期間どうのより、今回、育休を取ろうという夫の心意気が何より嬉しい。理解して、快く承諾してくださった夫の職場の皆様方にも、心から感謝している。
 

さあ、育休がはじまる。
一体どんなことになるのか想像がつかない。だからこそ変に先入観を持たず、多くの期待することもせず、また、自分に何かを課すこともしないようにしようと思う。まっさらな気持ちで、流れに任せて。

2週間後、どんな我が家があるだろうか。ではまた。

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