この父の一言で毎週のように珍スポットに連れ回されていたことへのストレスが大爆発し、思春期であったことも相まって、私は“父親を完全無視にする”という行動に出てしまいました。全国のお父さん、もし娘から無視をされても、それは思春期あるあるなのでどうか許してください。きっと本人もちょっとは後悔しているはずです。私がそうでした。
この事件の3日後くらいには正直どうでもよくなっていたけれど、意地なのか、気まずさなのか、なんとなく無視を止められませんでした。そして月日が経ち、中学時代が終わり、なんと高校受験の時期になってしまったのです。
さすがに完全な無視時代は終えたものの、なんとなく他人行儀で事務的な連絡をするだけの気まずい関係になっていました。おはよう、おやすみでさえも目を合わせず、棒読みでなるべく感情を込めないようにと無意識のうちに意識して。いい加減なんとかしなきゃな、と思いながら高校受験当日を迎えました。玄関で靴を履いていると、後ろから聞き慣れた声が聞こえました。
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お、おはよう。今日、試験なんだろ。
うん。
あ、あの。
・・・急いでるんだけど。
その、がんばれよ。
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そのとき、久々に父の目を見た気がしました。そして、なんとなくシワが増えて目が細くなったなあと思いました。少し老いた父の目と、幼い頃色々な珍スポットに連れまわされていた記憶の中の父の目が重なって、なんとも言えない感情が胸いっぱいに広がりました。
約3年間父親譲りの頑固マインドでろくな会話をしようとしなかった私は、その瞬間なにかに解放されたような感覚に陥りました。自分で自分を父の愛情から遠ざけていただけなのかな。
今週末あたり、私から父を珍スポット探索に誘ってみようかなと思います。珍しく“真面目な良い話系”なのは、10回目記念に免じて許してください。今週はこのへんで。はるのんでした。