スリー・ビルボード
既に各所で絶賛されており、今さら出す必要も無い気がするが「スリー・ビルボード」はおさえておいた方が良いだろう。
Reference:YouTube
米国はミズーリ州にある田舎町を舞台とするサスペンスもので、公式サイトを覗いてみると
「誰もたどり着いたことのない結末へと連れ去る衝撃と感動のクライム・サスペンス」
と謳われている。これは凄い。何も言っていないに等しい。
「誰もたどり着いたことがない」のに、以後誰でも思いつきそうなパンチラインを繰り出さざるを得なかったことに文言制作者の苦しみとやけっぱち具合が伺える。また、「結末へと連れ去る」という表現はあまりやらないような気もするので、もしかしたら「連れ去る」は、意外と物語の核を付いているのでは、と妄想が膨らむ。
物語の主人公は7ヶ月前に娘を殺された母、ミルドレッド・ヘイズ(フランシス・マクドーマンド)であり、彼女は「捜査が進展してねえじゃねえか」と3枚の広告看板を利用して地元警察を批判する、とあらすじを書き出してみると、なんだか「連れ去る」ってワードが引っかかりませんかね。観る前に「こいつは死ぬな」とか「最初は良い奴だけど、徐々に化けの皮が剥がれてくるぞ」とか「捨てキャラだな」とか、映画の内容を想像するのはとても楽しい。
物語の大きな道筋としては、田舎町という閉鎖的な空間で次々と事件が起こり、娘の死の真相が明かされていくのだと予想される。そして、ミルドレッドに批判されたものの、地域住民からの人望が厚い警察署長を演じるのはウディ・ハレルソンである。最近では「良い人」の役が多いが、今作はどうだろうか、もしかしたら突如ミッキー・ノックスに変貌して大殺戮をやらかすのではないか。それを確認するためだけにでも、観て損はないはずだ。