「ツッコミどころ」が多いほど「ロマンチックさ」が増す法則
「ツッコミどころ」が多いということは、通常、読み手が経験していないことであったり、もしくは「現実でありえない」ことである。その「矛盾」に思わずツッコミたくなる。
しかし、だからこそなのである。
だからこそ読者はソコに「ロマンチックさ」を感じるのだ。
日常を舞台にしているのに、読者が(おそらく)一生経験できないであろうことを、漫画の主人公の体験を間借りし、補っている。
お決まりのシチュエーションを待ちわびているのは、むしろ読者のほうなのかもしれない。
学園祭ではだいたい『女装カフェ』で女子学生顔負けの美人女装男子が描かれる。「つーか資金源はどこなんだろう・・・」という余計な詮索は、何度も言うが無粋だ。
彼氏彼女であれば、どちらかの家にいる時、いよいよキスの一歩手前というところで、タイミングよくおかんがお茶菓子を持ってくる。空気を読め。
「頑張っていればいつかみんなわかってくれるはず!」というポジティブ甚だしい主人公なんかも私を悩ます。転んでも転んでもめげずに問題へ立ち向かう様に心を打たれるのだろう。
過去に暗い影を落とす思い人の懐に土足で上がり込み、己の常識を充てがう傾向もある。
頑張っても分かり合えない人のほうが世の中大多数だ。こんな私は情緒のカケラも無い。
だから私はそんな彼女らにリスペクトの念を送りたい。
なぜなら彼女らは結末よく締めることができる。
とにかく挙げればきりがない。
しかし、そんな「スタンダード」があればこそ。あればこそなのである。
芸人の「一発ギャグ・持ちネタ」で毎回笑えるように、少女漫画のお決まりパターンもまた然り、“わかっているのに”胸の高鳴りを感じることができるのだから、それはそれでいいのだ。
しかしいつか、新たなスタンダードができることを、一読者として待ちわびている自分が居たりもする。
それでも私は死ぬまでこの「少女漫画」を、「漫画」を読み続けるのだろう。
あなたの思う、少女漫画の「お決まりのシチュエーション」はなんですか?