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2010年代のゾンビ映画「今のところベスト5」

加藤広大 加藤広大


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インド・オブ・ザ・デッド(Go Goa Gone)/2013年

「インド初のゾンビコメディー映画、まさかの日本上陸!」との宣伝文句で公開された本作ですが、微妙な文句とは裏腹に、まさかの傑作でございました。

インド発ということで、いきなり踊りだしたり、なんならそのまま2時間踊り続けるんじゃないかと食指が動かない方もいらっしゃるかと思いますが安心してください。踊りません。正統派のゾンビコメディーです。

Reference:YouTube

この映画、本当によく作ってありまして、会社を首になったり、女にフラれたりしたダメ男2人と、それに比べればややまともな男性がゴアにある離島に出かけ、そこで事件が起こるわけですが、まず、なかなかゾンビが出てこない。前半でしっかりとヒューマンコメディを演出してくれるんですね。

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/06/zmb_008-e1496838408180.png出典:YouTube

そして、ゾンビが発生した理由、なぜ頭部を破壊しなければ動きを止められないか、最終的な解決方法まで、それなりの理由付けと説明がされている。これだけでも昨今のゾンビ映画にありがちな「ゾンビ映画で観た」だけの理由で頭部を殴打するような脳みそスポンジ作品とは一線を画します。

また、基本的には「ショーン・オブ・ザ・デッド」スタイルなノリで話は進むのですが、決して安易なオマージュではなく、ストーリーが巧く練られています。何より、インドのゴア近辺の離島という舞台設定は、青い海、抜けの良い空と、健康的な景色が唯一無二の世界観を律しています。

https://www.machikado-creative.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/06/amb_009-e1496838516162.png出典:YouTube

さらに、ゾンビ映画にあるまじきインド謹製の強烈な楽曲群も必聴で、正直「ゾンビ映画にここまで合うのか」と腰が抜けました。

そしてそして、最後の逆「ドーン・オブ・ザ・デッド」なオチ。最初から最後までテンポも落ちず、ジャンル物として見ずとも映画として完成された傑作です。

あとがき・オブ・ザ・デッド

総じて、2010年代のゾンビ映画は2000年代に制作/公開された「ショーン・オブ・ザ・デッド(2004年)」「ゾンビランド(2009年)」「ドーン・オブ・ザ・デッド(2004年)」などに大きな影響を受けたものが多く、逆に「ゾンビ(1978)」が描き出した得体のしれない恐怖、不安、絶望的なまでに孤独な世界観はあまり引き継がれていないように思えます。また、ゾンビという没個性のなかに個性を求める作品も増えてきていますね。

これは別に「ルーツがねえ」とか「こんなのゾンビ映画じゃねえ」などの恨み節ではなく、ルーツ的作品群の未だに脳に焼き付いて離れないあの衝撃も、現代のトゥインキーのようなバカに甘くてついつい食ってしまうような娯楽も両方あっていいじゃないというのが、個人的な意見です。シリアスな映画も、笑える映画も、出来が良けりゃいいのです。なんならサントラが良ければそれだけでいいのです。

さて、ゾンビ映画ガイドをいろいろとやって参りましたが、現在、ゾンビ映画を観続けたせいで私の脳みそはスポンジ状になってしまい、どんな駄作を観てもゲラゲラと笑ってしまうほど知力が低下しており、笑いや感動のハードルも非常に低くなっているため、セレクト基準が微妙になっているかもしれません。そのあたりはどうか、広い心で許してねオブ・ザ・デッド。

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