「インサイダーズ/内部者たち」2015年
匂い立つほどの暴力描写に、近年の映画ではあまり見られないほどコッテリとしたお色気シーンと書くと、それだけで敬遠されてしまいそうですが、そんなことすらスパイス程度にしかならないほどに緻密かつ重厚なストーリーで汚職政治、性的接待など、韓国社会が抱えている暗部を見事に描き出した映画が「インサイダーズ/内部者たち」です。
Reference：YouTube
主演はイ・ビョンホン（ビョン様ですね）。大手自動車会社の会長（キム・ホンパ）が大統領候補であるチャン・ピル（イ・ギョンヨン）に金を融通し、韓国政界を牛耳ろうとしていました。その間を取り持ち、裏で糸を操るのは新聞社、祖国日報の主幹であるイ・ガンヒ（ペク・ユンシク）。ガンヒの元で悪事に手を染めるチンピラ、アン・サング（イ・ビョンホン）は、裏金の証拠ファイルを入手せよとの命令をうけます。
その目が回るような展開は、今やハリウッド進出も果たし、世界的にも知名度があるビョン様ですらストーリーを駆動させるひとつの役割に過ぎないと感じてしまうほどに緻密で、大胆で、エンタメ性もしっかりと担保しています。
もうネタバレをまったく許さない構造になっていますので、詳しくはというより一文字も書けないほどなのですが、とにかく社会派ドラマが好き、なかでも腐敗した政治や巨悪に立ち向かう話が好物、という方は、観て損はしません。大傑作です。
また、本作でのビョン様のショーケン・リスペクトは半端ではなく、「傷だらけの天使」の萩原健一や水谷豊がお好みの方も大いに楽しめることでしょう。
