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春に現れるナンパ師たちの奇行3選

岡田麻沙 岡田麻沙


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1. コンビニプリントの枚数カウントを開始したおじさん

深夜、道頓堀から少し歩いた場所にあるコンビニで、わたしは原稿をプリントアウトしていた。プリント機の前に立って手持無沙汰にガラス窓の向こうを眺めていると、千鳥足の酔っぱらいたちが途切れることなく駅のほうへと流れていく様が目に入った。そのうちの一人、赤ら顔のおじさんと目が合った。まずい、と思ったときには遅かった。自動ドアーが開く。

「何してるんですかぁ」と大声で尋ねながら、おじさんはわたしの隣にやって来た。沈黙を守るこちらの様子には構わず、おじさんは隣で酒臭い息をまき散らす。
 

それ、印刷ですよね、印刷。いいなあ、便利な世の中だなあ! 僕も印刷したいなあ・・・(うっとり)

 

えっ

 

ねえ、いいでしょう。僕もここで。君と、朝まで、い・ん・さ・つ・・・!!

 

・・・・・・・・・

 

ほら、まだまだありますよ。今15枚目でしょう。16枚、17枚、それ、19マーイ!!!

 

・・・・・・!!!

 
おじさんはプリントアウトが終わるまでわたしの隣で不正確なカウントを続けた後、「今度は別のコンビニで印刷をしましょう」とナンパをしてきた。丁重にお断りしたが、もしあのまま彼について行ったら、本当に「朝まで、い・ん・さ・つ」をすることになったのかが気になるところである。

それにしても、「コンビニで印刷中」という容易にはその場を離脱できない状況を利用する計算高さに加え、「突然カウントを始める(しかもカウントできてない)」という起爆力の高さ、「朝まで印刷」という濃いめの提案。このコンボにはどうしても、プロのセンスを感じざるを得ない。


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