落ちる一方の米消費
次のグラフは主食の米とパンと麺類、副食の生鮮肉と生鮮鮮魚の消費支出の推移を示しています。安い品種が増えたとはいえ、米の消費支出の減少はちょっと心配になるレベル。かわって増えているのがパン。その昔、パンというと朝の食パンと菓子パンぐらいしかありませんでした。今は調理したものも含め、「パンは朝食」というイメージを変え、昼はもちろん、小世帯や独身者を中心に夕食に食べる習慣も根付いているようです。
もし日本人にアンケート調査をしたら、大半の人が「パンよりもパスタよりも米が好き!」と答えるでしょう。今でも主役は米ですが、下げ止まりが読めないほど消費が減少しつづけています。
これは米に限った問題ではありません。「米が先か」「おかずが先か」の問題もありますが、米に合う食材の消費も同時に下がっているのです。グラフにあるとおり、魚を食べなくなる傾向が著しい。2012年からゆるやかな上昇に転じ見えますが、価格が上昇した分です。一方の肉は、パン類と同様に支出を増やしています。野菜も、豆類や白菜など日本食のおかず向けが振るわず、レタスなど洋食に合うものの支出のほうが安定しています。将来、和食向け、洋食向けの食材のどちらを作るかで、農家に格差が生じなければいいと心配してしまうほどです。
魚や野菜に限らず、日本酒についても消費支出は下降傾向です。晩酌する人が減ったせいもありますが、肉とパンならばビールやワインのほうが合う。一方、洋食に日本酒が合うかというと、個人の好みもありますが、習慣的に飲まない気がします。しかしビールはもちろん、ワインも純日本風の料理に合わないことはない。
サントリーのCMは数十年以上前、古い日本の旅館のシーンなどが登場していました。そうなるとウイスキーも和食に合わなくはなさそうです。そもそも、洋食のみならず日本の料理にも合わなければ、洋酒類が普及するわけがないのです。
和の食材は、ご覧のとおり悪循環の様相です。ごはんを炊いて余らせたり不足が生じたりするより、調理がいらず食べきりで済むパンが、いっそう好まれても不思議ではありません。