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「ギミーデンジャー」ジム・ジャームッシュとイギー・ポップが仕掛けた再構築

加藤広大 加藤広大


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音楽ドキュメンタリーのコラムとしては少々反則気味ですが

今回のコラムでは、ザ・ストゥージズを知っている人には釈迦に説法、知らない人はおそらくまったく興味がないであろうことから、音楽の話やバンドの話は極力省き、一本のドキュメンタリーとしてどうなのか? を重点的に話を進めることとします。

ですので、Wikipediaを読んだり、YouTubeで検索してみたり、本編を観たり、誰かの感想を読んだりしていただけますと、より立体的にお楽しみいただけるかと思います。

とは言え、ちょっとはご紹介しないとホスピタリティに欠けるというものですし、できるならば多くの人に足を運んでいただきたいし、興行成績も上がって欲しい。そんなわけで、本作の監督は、ジム・ジャームッシュ。

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/M/MV5BMTc5ODE0MzI5NF5BMl5BanBnXkFtZTgwMzY0MTU4OTE@._V1_SY1000_CR0,0,869,1000_AL_.jpg出典:IMDb

「パーマネント・バケーション」「ストレンジャー・ザン・パラダイス」、「ダウン・バイ・ロー」、などなど、処女作から一貫して「シーンのどこを切り取っても写真として成立する」ような美しい作品を撮り続けている監督です。

「ギミー・デンジャー」は、ちょうど前作「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」と最新作「パターソン」に前後して、撮影の合間を縫うようにして制作されました。

その流れを鑑みると、「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」に登場するミュージシャンにしてヴァンパイアである、アダム(トム・ヒドルストン)は、その何百年も生きている/謎に包まれている点で、完全なるデス・プルーフ的存在のイギー・ポップと被ります。もちろん、イギーの方が顔色は万倍濃いですが。

また、「パターソン」にはパルム・ドッグ賞を受賞した演技派ブルドッグ、ネリー(マーヴィン)が出演しておりまして、これまたザ・ストゥージズの『I Wanna Be Your Dog』と被り・・・・・・ませんな、言い過ぎました。

さて、本作のもう一人のキーマンはイギー・ポップ。

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/M/MV5BMjAzNTE2OTgwNl5BMl5BanBnXkFtZTgwNjAyMDcwMTI@._V1_SX1500_CR0,0,1500,999_AL_.jpg出典:IMDb

音楽好きには説明不要ですが、映画好きな方ですと、「トレインスポッティング」のオープニング曲を上半身裸で歌っていた人だと言うと、通りが良いでしょうか。随分と雑な紹介ですが、これが一番分かりやすいのだから仕方がない。ちなみに、イギー・ポップの出演映画で私が最も好きなのは「クライ・ベイビー」でありまして、ついでに宣伝しますが、とても面白い映画なので機会があれば観てみてください。

イギーはザ・ストゥージズのフロントマンとして、1967年から1974年まで活動し2003年に再結成、3枚のアルバムをリリースしています。本作はザ・ストゥージズの活動時期に焦点を当て製作されています。

この、ともすれば非常にニッチな作品を撮影することとなったきっかけは、ジム・ジャームッシュの数十年来の友人であるイギー・ポップ本人から「ザ・ストゥージズのドキュメンタリーを撮って欲しい」と依頼され、上述した映画と並行しつつ、約8年の歳月を経て完成にこぎ着けました。

その中身は、ジム・ジャームッシュ作品には珍しく時系列順に進行し、彼が撮る一連の作品「らしさ」は影を潜めています。

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