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引っ越し完了、次なるスタート【連載】松尾英里子のウラオモテ

松尾英里子 松尾英里子


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でも、何事も適当すぎるのは良くなかったようだ。まだ空きスペースのあった段ボールに、引っ越しの朝に使ったメイクボックスをぽんっと放り込んだのが最後、一体どの段ボールに入れたのか思い出せなくなる、という事態が発生した。ちなみに、段ボールの横に中身がなにか記載はしていた。ただ、「キッチン周り」と書いた箱が5、6箱あったり「洗面台もろもろ」と書いた箱もいくつもあったり、とにかく表記のカブりが多すぎた。さらに、そもそも論として何の箱に入れたのか思い出せない。その結果、メイクボックスが見つからず、引っ越しの翌日に開かれた息子の幼稚園の保護者会にノーメイクで行く羽目になった。30代半ばのいいオトナにとって、できれば避けたいなかなかの冒険だ。いつもより薄目の眉毛を前髪で隠しながら、「もし今度引っ越しをすることが仮にあるとしたら、メイク道具を手荷物にするか、きちんと段ボールに『メイク用品』などと書くことにしよう」と私は心に決めたのだった。
 

息子の幼稚園もあと一週間で終業式を迎える。せめて今の幼稚園で年少さんを全うさせてあげたいという思いもあって、引っ越してからは毎日、慣れない私の運転で幼稚園に通っている。朝は6時前に起き、8時に家を出発。9時に園に送り届けた後は、私と娘はいつもの公園で遊んだり、よく行っていたパン屋さんで、娘の好きなコーンパンと私の好きなクロワッサンを買って食べたりして過ごす。そうこうしているうちにお迎えの時間。息子と娘、いつものメンバーといつものように公園で遊び、いつものように笑い、いつものように風が冷たくなってきたのを見計らって、午後3時すぎ、いつも通りみんな解散。

ああ、こんな毎日も悪くなかったな・・・。踏み切り越しに顔を上げると、妙に空が澄んでいて、なぜだか私は急に泣きそうになった。
 

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