「保育園落ちた日本死ね・・・」
「本気なの?」
「うん」
松友は本気のようだった。本気で日本に、トランプ現象に乗っかり、ドナルド・トランプのAIと揶揄される時の政権に、喧嘩を売るつもりだった。
「わかったわ、それがマイナス金利。ひいては都民ファーストにつながるわけね」
松友は頷く。
松友の決意に満ちた目を見て、高橋もようやく決断したようだった。
「決行は深夜0時にしよう」
松友は、少しの間だけでも眠った方がいいと高橋をソファーベットに促した。
高橋は愛用しているおそ松さんの目覚まし時計を23時45分に設定し
「アモーレ・・・」
遠く離れた日本で、くまモン頑張れ絵を描き続けている恋人を、想った。
目覚ましが鳴る5分前、高橋はCNNニュースから流れてきた「SMAP解散」という言葉に違和感を覚え、ゆっくりと瞼を広げた。松友の姿はなかった。
「まさか」
高橋が松友の姿を探し部屋中を見回す過程で、コーナーテーブルに置かれたノートの切れ端を見つける。
そっと立ち上がり、切れ端に書かれたメッセージに目をやる。
“聖地巡礼してくる。”
「なんてことを」
高橋は身体中の力が抜け、その場に崩れ落ちた。
松友は、これからの日本のために、そして大切な高橋のために、新しい判断を下した。
「I’m a perfect human.」
高橋の頭をよぎったのは、松友が忘年会で披露するはずだった、ノミネート漏れの言葉だった。
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