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「ドーン・オブ・ザ・デッド」から聴こえる、血みどろに彩った強烈なサウンド

加藤広大 加藤広大


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「ジムキャロルバンド」とは、レオナルド・ディカプリオが主演したり、1999年にコロラド州で起きた「コロンバイン高校銃乱射事件」の際にも話題になった『バスケットボール・ダイアリーズ』の原作者で、厳格なカトリックの家系に生まれるも、10代前半からドラッグとアルコール、その他ここには書けないさまざまな快楽に溺れ、筋金入りの不良時代を過ごすも自身が書き溜めていた日記(詩)を発表したらこれが大ウケ、見事一発逆転を果たすもヘロイン中毒からは抜けられず、心機一転、山に3年篭ってクスリを抜くなど、やること成すことトゥーマッチな詩人にして、その後パンクロッカーへと華麗なる転身を遂げる、ジムキャロルをリーダーとするバンドのことで、その初期NYパンク然としたゴリッゴリのロックチューンは、最後のシーンの、少しだけ寂しげでシリアスな雰囲気を良い意味で粉々に打ち砕いてくれます。

Reference:YouTube

上段で書いた最後のシーンを補足しますと、クルーザーに乗り込む場面でなぜかアメリカ国旗が妙に目立ちながらはためいているのですが、これは新しい新天地に向かう開拓者、そして新しい国家(のようなもの)の樹立、独立を想像させます。クルーザーに向かってくるゾンビの大群は、最早、この大陸には知能を持たない野蛮なゾンビしか存在していない(またはほとんどそうである)と、世界の終末を思わせる説得力があります。

殺られる前に殺りまくり、こちらの都合でさっさと撤退。劇中でも暇つぶしに屋上からゾンビを狙撃するシーンがありますが、まあ、非常にアメリカなんですね。

ちなみに最後のシーンちょっと長いんで、ゾンビが追いついてくるんじゃないかとドキドキするんですが、感動的な場面なので、よく観るとゾンビも気を使ってか、若干歩みが遅くなっています。

それはさておき、火薬多目でアレコレぶっ放し、最後は感動でシメるという如何にもアメリカ的な感じでジ・エンド。とはならないのがこの映画の良いところです。さまざまな犠牲を払ってたどり着いたクルーザー、新天地へ向かって船はゆっくりと進みます。そして流れる『People Who Died』

そのまま『People Who Died』つまり「死んでしまった者」達を偲びながらも、ついにゾンビから逃げ切り、安全な土地へ、「ここから新しい文明を築いていくんだなあ、ゾンビ殺しまくった挙句さっさと撤退して、アメリカみたいに」と一瞬思わせるも、エンドロールで曲が鳴り止み、再び不穏な映像が流れ始めます。そして、「ところがどっこい!」という感じで重苦しくギターリフが鳴り響きます。「Disturbed」『Down With The Sickness』です。

Reference:YouTube

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