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(2)【閲覧注意】女の嫉妬がエスカレート! 爽やかな絵柄の猟奇的漫画「死神アリス」【連載】トイアンナの大人読書レビュー

トイアンナ トイアンナ


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前回より「読むとトラウマになる、でも感動や学びがある漫画」を取り上げておりますが、今回もまたマニアックな名作『死神アリス』をご案内いたします。

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引用:『死神アリス(小林 ぽんず)』 学習研究社

『死神アリス』はその名の通り、表紙の美少年こと死神のアリス君が、使い魔と共に人の死を見届けるのがメインストーリーです。といってもむやみに死を看取るのではありません。そんなハートフルストーリーは『イキガミ』や『スカイハイ』にでも任せておけばええっちゅーねん。

死神アリスちゃんはもう少し猟奇的に「邪悪な感情で真っ黒になった人の心臓」を狙います。人が悪に染まるのを延々と待ちながら、染まりきったところで心臓をズバッ!と奪う。完全にグロの予感しかしませんが、少女マンガです。繰り返しますが、これは少女マンガです。

乙女のダイエットものからスタート

記念すべき第一話は、女子が「げっ、太ってる!」とショックを受けるところから始まります。

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引用:『死神アリス(小林 ぽんず)』 学習研究社

50kgで太ってると言い出すところがリアルな女子学生っぽくて、1ページ目からデブの私の嫉妬を買っていますが、それはさておきこのまま進めばよくある「拒食症」の問題提起モノっぽくなりそうな予感。

体重に衝撃を受けつつも学校へ行くと、以前はデブと見下していた同級生がすっかりキレイになって登校。さらなるショックを受けます。失礼なヤツだな。

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引用:『死神アリス(小林 ぽんず)』 学習研究社

で、見下していた女に負けるまい、と死ぬ気でダイエットを開始するダイエッターちゃん。木陰からそれを見守る少年が……。

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引用:『死神アリス(小林 ぽんず)』 学習研究社

これが影の薄い主人公の死神アリスです。ダイエッターちゃんの心臓が少しだけ邪悪に染まっているけれども、今のままじゃ獲物にならないのでもっと染まるまで待つようす。基本的にこの漫画、主人公のアリスは心臓が黒くなるのを見守って奪うだけなので存在感がいまいち薄いの「が」魅力です。

拒食症がオーバーすぎて発禁レベル!?

さて、痩せたダイエッターちゃんがこちら。

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引用:『死神アリス(小林 ぽんず)』 学習研究社

いや痩せすぎだろ。

この痩せ方しないだろ、拒食症にしたっておかしいだろ! と当事者だって抗議しそうな体つきになっています。何なら本人だってびっくりしてる。このままだと美しくはなれない、と苦悩します。ハートフルものだったら、ここで涙して回復への道のりを歩んで終わりなんだけどな。

そこへ現れる死神アリス。彼女に「美しくなれる薬」を与えます。ただし薬を与える条件は、「死ぬときに心臓を与えること」。死ぬつもりなんてない彼女は、あっさりと契約をします。

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引用:『死神アリス(小林 ぽんず)』 学習研究社

元通りに美しくなったダイエッターちゃんは、無事回復して学校へ通い始めるのですが……。

ダイエットした先は人殺し!

せっかくダイエットしても、戻った学校には前からバカにしていた元デブ子ちゃんがいるわけです。特にこの元デブ子ちゃん、ダイエットを努力して達成したわけではなく「病気で療養していたら痩せちゃって」という自然の恵みによる減量をしているところがポイント。かたや拒食症になるまで努力して痩せたのに、たまたま病気の副作用で痩せた子が許せるはずがない。

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引用:『死神アリス(小林 ぽんず)』 学習研究社

元デブ子ちゃんから見れば、別に誰かへの対抗心で痩せたわけでもないのに嫉妬されるだけ迷惑なわけですが、ダイエッターちゃんはこの元デブ子こと沙由美ちゃんを殺害。

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引用:『死神アリス(小林 ぽんず)』 学習研究社

あまりにグロなのでSATSUGAIシーンはカットしましたが、上記の台詞で「あんたの中身はたいしたことない」って言っている中身とは内臓のことです。内臓がきれいって、お通じがいいってこと……? そんなところで美を競うなよ! とは思いますが、誰かの美しさに嫉妬し殺意まで抱くというストーリー自体はそこまで変でもないですよね。女性にとって美とはスクールカーストを初めとする権力の根源でもあるのですから。また、「痩せてさえいれば美人」という概念が1991年の出版当初から共通認識だったことが分かるのも興味深いです。

殺害後明かされる真実

そして、無事(勝手な嫉妬による)殺害を果たしたダイエッターちゃんの前に訪れるアリス。実はダイエッターちゃん、末期がんでそもそも寿命があまり残っていなかったとの真実が明かされます。

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引用:『死神アリス(小林 ぽんず)』 学習研究社

つまり、この死神アリスは「どうせもうすぐ死ぬと分かっている女の子」の心臓をわざと真っ黒に染め上げて、奪い取ろうとしていたわけです。死神というよりは悪魔のようですね。少女マンガでここまで主人公が悪人として確立しているのは珍しい。他の話では心臓を「おいしそう」なんて言ったりしているので、真っ黒に染め上げた心臓は食べている可能性が高いです。

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引用:『死神アリス(小林 ぽんず)』 学習研究社

「ほらごらん、これがきみの心臓 ステキだね」

って、死んでるからね?

そして極めつけがこれ。

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引用:『死神アリス(小林 ぽんず)』 学習研究社

死因のがんとダイエットは無関係やんけー!!!!!

「やっぱりダイエットはカラダに悪いね、てへぺろ」調に片付けちゃだめだろ、そもそも死にそうな子をダイエットへ走らせたあげく心臓奪って結論そこかーい! 
とギリギリchopを100回入れたくなりますが、いかんせん拒食症になったダイエッターちゃんのホラーイラストが怖すぎて「うん、過度のダイエットは危ないね」とうっかり思いたくなる作品に仕上がっています。いや過度のダイエットはいけないんですけどね!?

と、今回は第1話をダイジェストでご紹介いたしましたが、オムニバス形式となっている本作品はどの巻から買っても楽しめる構成になっており、特に後半は死神アリスくんが正義の心に目覚めてグロ要素が減っていくので万人におすすめです。逆に血まみれスプラッタを乙女ちっくな絵で楽しみたい方は、1~3巻あたりをご堪能ください。

なお、作品も絶版だしこの作家さんお元気かしらと思って調べたところ、今は山田うさこ先生名義にてイラストレーターとして活躍されていらっしゃるごようす。少女マンガは少年漫画以上に単行本化されにくく、昔ヒットしたあの人も消息不明なことが多々あるためほっとしました。

また、この作家さんはご本人がスピリチュアル系のため、巻末あとがきのコメントが「昔UFOを見た話」等ゆんゆんしており、こちらもまた隠れたおすすめどころでございます。古本屋さんなどで見かけた際は、ぜひ購入をご検討ください。Kindle化、待望しております。

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