しかし今作では、そこまで明確に不思議だと言える体験はありません。物語は徐々にやんわりと
タイムスリップという点で対になりそうなのが③のエピソード。過去にタイムスリップしているのかな? と一瞬思いましたが、アレック・ボールドウィンは特に驚きもしてないので<回想>としての扱いなんだと思います。過去と今が同時にそこに存在しているという意味ではとても舞台的な見せ方で、観ている方も途中まではおっさんと若者が意気投合しているようにしか見えません。
唯一人物がその不思議な夢に戸惑っているのが、②のロベルト・ベニーニのエピソード。このエピソードは不思議であり、突出してナンセンスです。
毎朝7時に起きる平凡な亭主が、ある日からパパラッチに追いかけられ始める。ニュースによばれインタビューまで受け、有名人としてチヤホヤされる。女にもモテモテ。けれどもなぜそうなったのか全く心当たりがない。やがてプライバシーのない窮屈な毎日に辟易し、専属の運転手に「どう言う事なんだ? なんで自分は有名なんだ?」と問いつめると「あなたは有名な事で有名なんです」だって。あーふざけてる。
しかし、このテイストの違う「世にも奇妙な物語」にありそうな話が、他のエピソードに並列的に混ざると、団子でいう串の部分になり、一見関わり合いのない別ジャンルのエピソードたちを一体化させるような効果がありました。
何があっても何が起きても、自然と馴染むように設計されており、なるほどなぁと思いました。