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“紙もの”でパリのデザインシーンを席巻中! 『パピエ・ティグル』にみるデザインの力

木村真紀 木村真紀


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 メトロのポスターやウィンドウディスプレイ、カフェやレストランのサインやロゴにエコバック―。パリには思わず目にとまるデザインがあふれています。特に、店のアイデンティティを表すショップカードやショップバック、パッケージのデザインにはコレクションしたくなるものが多く、“デザイン”するということへの意識の高さが伺えます。そんな中、人気のセレクトショップやインテリアショップで何度も出会う1冊の幾何学模様のノートがありました。気になって調べてみると『パピエ・ティグル』という紙を使ったステーショナリーを手がけるクリエイティブ集団のブランドのもの。いったいどんな人たちがデザインしているのでしょう。早速、北マレにあるブティックに彼らを訪ねてみました。

北マレのフィーユ・ドゥ・カルヴェール通りにある『パピエ・ティグル』のブティック。大きなガラス窓のインパクトあるディスプレイに思わず足を止める人も多い。

思わず手に取りたくなる紙ものアイテムがずらり

 最寄りのフィーユ・ドゥ・カルヴェール駅から約5分。大きな窓ガラスにディスプレイされたサボテンが目に飛びこんできました。「ここだ!」という高揚感を胸にドアをあけると、思わず手に取りたくなるカラフルなアイテムがずらり。あの幾何学模様のノートも種類豊富に並んでいます。ほかにも、手帳やカレンダー、カードやポスターなど紙ものアイテムが一堂に。ますます気になる『パピエ・ティグル』 。その魅力に迫るべく、チーム『パピエ・ティグル』の3人に話を聞いてみました。



白を基調にしたブティック内には『パピエ・ティグル』のアイコニックな商品がずらっと並ぶ。ガラスの窓の向こうはオフィスになっている。

デザインが広げる紙の可能性

 「とても身近だけれど、奥が深い。そんな紙の可能性に惹かれたんです。紙が必要とされない現代だからこそ、改めて紙に触れる喜びを再提案したかった」と語るのは、『パピエ・ティグル』のデザイナーの一人、ジュリアン。『パピエ・ティグル』をスタートする前、ジュリアンともう一人のデザイナーであるアガットは『Fake』というデザイン会社に所属していたそう。そこではクライアント向けのカタログデザインなどを手がけていたのですが、“自分たちのためにもっと新しいものを生み出すデザインをしていきたい”、とブランド設立を決心。2011年にマーケティングや広報を担当するマキシムも仲間に加わり3人でブランドをスタートしました。初めはオンラインブティックのみでの販売だったのですが、後押ししてくれたのが、FacebookやInstagram、TwitterといったSNSの存在。一度見たら忘れないビジュアルインパクトと、『パピエ・ティグル』ならではのユニーク性の高い商品は瞬く間にパリはもちろん、世界中のデザインフリークの間に広まりました。現在では25カ国、250店舗以上での取り扱いがあるというから驚きです。



左からマーケティング・広報担当のマキシム、デザイナーのアガット、ジュリアン。

  • フランスメイドにこだわった『パピエ・ティグル』のデビュー作『Le Pli Postal』
  • レター用紙の裏側が折ると封筒になる仕掛け。全てオリジナル柄で19枚綴り(23ユーロ)

 カレンダーやノート、手帳や包装紙といった紙ものラインナップに加え、オリジナルトートバッグも取り揃える『パピエ・ティグル』。ファッションと同様、春夏・秋冬と年2回のコレクション発表があり、中でもアイコン商品のノートは、シーズンごとにコレクションしたくなるほど、心惹かれるデザインが続々登場します。デザインソースは身の回りにあるもの全てという『パピエ・ティグル』ですが、2015年の春夏のテーマは「ミネラル(鉱物)」。地層や岩、火山などからインスピレーションを得たノートは、部屋のインテリアにしたくなるほど、カラフルで独創性に溢れています。



  • 2015年の春夏コレクション。右は火山がインスピレーションソース


  • 『ディプティック』とのコラボレーションアイテム

 「日本からの影響はとても大きく、さまざまなアイテムのインスピレーション元になっているのはもちろん、紙に対するアイデアもたくさんもらいました」とマキシム。ヨーロッパでは、パーティーの招待状や食事のお礼状など、手紙を通して紙に触れることが多いのですが、日本では“包装紙”の分野での紙の発展が目覚ましいのだとか。
 「『パピエ・ティグル』では包装紙の取り扱いもあるのですが、今春、雑誌『MilK』が世界で初めて手掛けるセレクトショップが日本の表参道に誕生し、そのオリジナルラッピングペーパーをデザインしました」(マキシム)
 ほかにも、日本での主要販売先である『スパイラル マーケット』とコラボレーションした京友禅のてぬぐいや、セレクトショップのビームスとコラボレーションしたけん玉など、紙もの以外でのコラボレーションも続々と誕生。『パピエ・ティグル』らしいカラフルなグラフィックながら、日常生活にも馴染むデザインはさすがの一言です。
 「表面的なグラフィックではなく、実用性も重視した商品をデザインする。それが私たちの目指すデザインです」とジュリアン。紙を中心とした小さなアイテムのデザインが、そのアイデアを通して人々に大きな喜びや新しい発見を与える。それが『パピエ・ティグル』だからこそ体現できるデザインの力と可能性。自身の独創的なコレクションはもちろん、さまざまなブランドとのコラボレーションを通して、デザインの力で新しい価値観を生み出していくパリきってのデザインチームにこれからも目が離せません。

●Papier Tigre 
5 rue des Filles du Calvaire 75003 Paris
Tel +33 (0)1 48 04 00 21 
Papier Tigreオフィシャルサイト

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  • 「スパイラルマーケット」とコラボした京友禅のてぬぐい(1枚/1,512円)
  • 『Milk』のイメージにぴったりなオリジナルのラッピングペーパー

街角のクリエイティブ ロゴ


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