突然身の上話を始めたビッグベン
「子どもがいる。でも奥さんはこっちにいない」そう漏らすと、運転をしながら子どもの写真を取り出したビッグ・ベン。脈絡の無い突然の宣言に「どうした、気でも狂れたか」と思いながらも適当に耳を傾ける。
(正直ちゃんと聞いてなかったのでうろ覚えだが)彼にはアジア圏出身の奥さんがいて小さな子どももいるらしい。子どもはかわいいが奥さんの気が強すぎてどうにもこうにもいかないとのこと。という感じの話をひとしきり話したあと、車のブレーキに足をかけるビッグ・ベン。
「ノーコリアン! ノーチャイニーズ! ノーフィリピーナ! ジャパニーズウーマン・イズ・ザ・ベスト!!!」
と、突然糸が切れたように興奮し出す。
私:「コワイコワイコワイ! 待て待て待て待て!」
話を逸らそうと試みるも尚、ひたすら「ニホンジンガイイ。ニホンジントケッコンスルコト、ユメ(英語)」という類のことをひたすらに続ける。完全に瞳孔開いてますやん。
そしてさらにルームミラー越しにロックオンされてしまっている。コワイ。無論、私も逃げるタイミングをうかがうため目を離すことができない。それはまるで灼熱のモロッコの気温を彷彿とさせるような、ミラー越しに熱い視線と視線が絡みつくワンデイ・ロマンス・イン・モロッコ・・・(やかましい)。