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ノンケの女子を脳から口説こうとして肉を手に入れた話

岡田麻沙 岡田麻沙


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今度こそ、どんなことをしてでもTちゃんを落とそうと決めたわたしは、作戦を変えることにした。確実な手段を用いる必要がある。彼女はノンケである。きっとノンケの女子を口説くには、普通のアプローチでは無理なのだ。当時のわたしにはノンケの女子が全員、異星人か何かのように見えていた。まずは、Tちゃんの脳内を恋愛状態にしてしまうことにした。
 
人は恋に落ちると、脳内でアドレナリンとドーパミンを大量に分泌する。アドレナリンは心と体を緊張させ、興奮状態を作り出す。その一方で、ドーパミンによる報酬刺激は、多幸感と常習性を引き起こす(※参考:Romantic Love。わたしといる時、彼女の脳内にこの二つを分泌させることができれば、Tちゃんは「ドキドキするけど幸せ、しかも、もっと欲しい!!」状態、つまりわたしに恋をしている状態になるのである。
 
アドレナリンもドーパミンも、身近な食べ物を摂取することで簡単に分泌される。珈琲と甘いものだ。わたしはTちゃんをお茶に誘いまくり、甘いものを勧めまくった。顔を合わすたびに飴やらチョコレートやらをせっせと手渡した。袋分けの菓子を持ち歩くようになった。わたしは次第に彼女にとって、親戚のおばさんのような存在になっていった。
 
毎週、お茶をするようになった。Tちゃんはとてもよく喋った。珈琲を飲み、興奮した口調でカス男についてまくしたてる。わたしは身を乗り出し、読点を打つように「うん」「うん」と何度も相槌を打った。ひとしきり喋り終えると二人で黙々とケーキを食べた。Tちゃんは魂の抜けたような表情で一口頬張り、「おいしい」と呟いて、甘苦しいため息を漏らすのだった

 

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