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ノンケの女子を脳から口説こうとして肉を手に入れた話

岡田麻沙 岡田麻沙


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さて。不満たらたらだったわたしにも、当時、気になる女子がいた。八重歯の可愛いノンケのTちゃんである。アプローチをする勇気もなく、挙動不審な友人としてただ彼女の周囲をうろついていた。Tちゃんは当時、カスのような男に片思いをしていた。話を聞く限り、本当にカスのような男だった。わたしは「もしかしてTちゃんはあの男を愛することで涅槃ねはんにいたろうとしているのかな」と思っていた。半年が過ぎても彼女は、相変わらずその男に入れあげていた。解脱する気配もなかった。あかん、と思った。Tちゃんが不幸になってしまう! ここにきてようやく、焦りを感じたのである。指をくわえて見ている場合ではない。Tちゃんを口説くのだ。カスの手から救うのだ! わたしは義憤に燃えた。
 

告白した。ふられた。
 

2秒でふられたという事実を、すぐには受け止めることができなかった。フィクションだと思った。そう、きっとこれはサイエンス・フィクションだ。時空のひずみが生じているのだ。Tちゃんにふられた? はは。そんなことがあるはずがない。かのシュレーディンガーも、「箱を開けるまでは猫が生きているか死んでいるか決定しない」と言っていたではないか(※参考:Wikipedia。猫は死んでいるけど生きている。同様に、わたしはふられたけど、ふられていない。数日後、今までと変わらぬ笑顔で声を掛けてきた彼女の様子を見て、わたしは確信した。ほら、やっぱり。ふられてない。

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