経済へも影響が
次の調査結果を見ていただきたい。日本の若者は親の愛は感じているが、親への尊敬の意識が他国の若者に比べて低い。そして親の子供への理解度についても評価が低い。その結果からか、自分に対する満足度では、日本の若者は他国の若者の回答を下回ってしまっている。親との接し方が、その子の将来の自信ややる気に影響を与えているかもしれないという仮説が成り立つ。
もちろんお国柄もあるだろう。日本人は「不言実行」を重んじる国民性があり、“謙遜”に価値が置かれえいる。自己表現や愛情表現も控えめだ。なので一概に比較はできないのだが、調査結果はそれを割り引いても各国の親子関係の違いを表しているように思える。日本の親たちは、子供を理解し、自信をつけさせ、未知に挑戦させる意欲を育む教育が、やや苦手であると言えそうだ。
これまで日本経済は大量生産に負ってきたところが多く、それには一糸乱れぬ統率力が重要だった。つまり出る杭は打たれるどころか、周囲と異なる行動や平均水準に満たない働き、全体のペースを乱す行動は許されなかった。ところが、昨今のビジネスは、いち早く新しいものを生み出し、失敗したら素早く撤退し、また次の手を打つ、という流れが主流になりつつある。現代のビジネススタイルは、より狩猟民族的な発想に近いのではないかと思えてくる。
日本の企業やビジネスマンは失敗を恐れることで、新しいものへの挑戦というリスクを回避する傾向が近年見られるのではないか。つまり大量生産時代にマッチして成功してきた日本人の特性――農耕民族的社会が、いまはマイナス要因として機能してしまっているのではないかということ。