「 も う ち ょ っ と だ け 優 し く し て 」
この営業に限らず若いリア充企業の営業に多い、この「俺、おまえと違って忙しいから空気読んで適当に進めてくれよ」という空気。もうお腹いっぱいである。適当に進められないから、こうして問うているのである。 特段難しい質問ではない。むしろメールのコピペで『クライアントに横流しができる』よう、あらかじめ質問を作成しても、尚だ。
許せぬ。モーレツに許せぬ。
君らはもっと大きな仕事そして膨大なお金を回している中で、こんな地方の最果てでぐだぐだやっているフリーランスの女に構っていられないのだろう。分かるぞ。が、ビジネスはビジネスである。こちらとて仲良しごっこをする気は毛頭ない。しかし、君たちのその大きなお金を回すための素材を提供している私たちにも、少しばかり気を遣って欲しいものだ。
こういった電話の後、とにかく何かを投げたくなる衝動に駆られるのだが、小心者な私はだいたいカーテンに向かって“丸めたメディキュット”を、優しく放物線 を描くように放り投げるだけに留まるのである。
ひとしきり暴れた後、私は今日も越後屋のごとく相手の機嫌を伺いながら、いそいそと仕事に従事する生活を繰り返すだけなのだ。
