• MV_1120x330
  • MV_1120x330

アメリカでこんまり本『人生がときめく片づけの魔法』が社会現象を起こした4つの理由

トゥルーテル美紗子 トゥルーテル美紗子


LoadingMY CLIP

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

理由4.  周りのプロデュース力が素晴らしかったから

私は前職、出版社で編集者をしていたのですが、ちょうど入社1年目のときに『人生がときめく~』が発刊されました。あれよあれよという間に売れていき、すぐ数十万部の大台に乗ったと記憶しています。
血気盛んな新入社員は直筆の手紙で「弊社でも本を書いてください!」と依頼したのですが、担当編集の方から「既に100社以上からオファーが来ていて、全て断っているんです。すみません」と返事がありました。その時は「みんな行動早いな~」(自分が遅いだけ)とか「日本に単行本を出す出版社が100以上あるんだ」と驚きつつ、「まぁ、これだけ売れたら当然手放しませんよね」とすごすご引き下がりました。

その後こんまりさんは順調に第2弾、3弾、4弾を同じ出版社から出され、いずれも売れました。しかし、第1弾ほどの勢いがなかったことは確かです(というか第1弾が凄過ぎたのですが)。そこで私は第4弾が出た後、「そろそろどうでしょう」と再び執筆依頼をしてみました。第1弾発刊から4年、もう他社から出してもいい頃だろう、と。しかし、今度は返事がくることはありませんでした。そのとき既にサンマークの皆さんは、こんまりさんの海外進出で手一杯だったのでしょう。

普通の出版社は(と言い切っていいかは分かりませんが、少なくとも私の周りでは)、「第3弾くらいまで自社で出したら、十分元はとれたもの。あとは他社さんに関連本を出してもらえば、ウチの元祖も売れておいしいぞ」というスタンスで本を作っていると思います。第1弾が売れればたいてい2弾も売れますが、3弾、4弾と出すにつれて売り上げは鈍ってきます。そんなタイミングで売れた著者を手放し、次なるヒットメーカーを探しに行く。それが出版界のやり方だと思っていました。

ただ、サンマークさんはしっかり近藤さんを育て上げ、日本の外でもヒットさせた――これは、なかなかできることではないと思います。こんまりさんの手法が優れているのは大前提として、それを活かして育てる周囲のプロデュース力が、ここまでのヒットに繋がったのではないかと思うのです(偉そうに)。
 
クリエーターって、つい新しい方向に目が向いてしまいませんか。書籍編集も、新しい企画を追いかけて新しい本を作ることの繰り返しでした。でも、既存のコンテンツを育てることだって同じくらいクリエイティブなのかもしれません。

と、サイトのテーマである「クリエイティブ」を意識したところで、本稿を終えたいと思います。

街角のクリエイティブ ロゴ


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP