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飛ぶ鳥を落としてマウンティングしている企業訪問(1)「dof」編

街クリ編集部 街クリ編集部


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さて、始まりました。新企画。街クリ編集長西島と、編集部員小野が、国内の、完全なる勝ち組クリエイティブ企業に伺って、ギリギリのラインまで根掘り葉掘りお話をお伺いしようという企画です。

タイトルは「飛ぶ鳥を落としてマウンティングしている企業訪問」

記念すべき第1回目は、西島編集長が、公私ともに仲良くさせて頂いている齋藤太郎さん率いる株式会社dofです。社長でありコミュニケーションデザイナーの齋藤太郎さん、コミュニケーションプロデューサーの畑間晶太さんにお話を伺います。


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イケメン社長の名を欲しいままにしている齋藤氏

齋藤太郎(さいとう・たろう)
コミュニケーションデザイナー
1972年11月24日アメリカ合衆国オハイオ州グリーブランド生まれ。95年慶應義塾大学環境情報学部(SFC)卒。
株式会社電通入社後、テレビ局、営業局を経て、05年にコミュニケーション・デザインを生業とする、株式会社dofを設立。
製品開発から、マーケティング戦略立案、メディアプランニング、クリエイティブの最終アウトプットに至るまで、コミュニケーションの川上から川下まで「課題解決」を主眼とした提案を得意とする。幅広い人脈を生かしてのプロデュース力、実現力にも定評があり、最近では海外案件にも精力的に取り組んでいる。


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最近結婚して幸せ一杯の畑間氏

畑間晶太(はたま・しょうた)
コミュニケーション・プロデューサー
1982年6月8日生まれ。PARSONS The New School for Design, Communication Design科卒。在学時代に(株)カイブツの木谷友亮氏に師事する。アシスタントとして数多くのウェブ・出版物などジャンル問わず様々な分野の仕事に携わる。 卒業後、現職。ウェブサイトやアプリ開発の企画をはじめ、インタラクティブプロモーションなど様々なフィールドに渡るコンテンツ企画・制作に関わる。

居心地最高のオフィスdofにて


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新橋健康ランドとしても使われているお酒占有率が高いスペース

西島知宏(以下、西島) 本日は、お忙しい所お時間頂きまして、有り難うございます。

齋藤太郎(以下、齋藤) 街クリどうはどうですか? 順調?

西島 はい、おかげさまで。

齋藤 ワークバランスはどうなの? 本業の広告とメディア事業の。

西島 私はたまに変な記事書くだけなんで、配分というほどの配分はないですね。今後はこういう取材を増やしていこうと思ってますけど。

齋藤 そうなんだ。西くんは、プライベートでも仲良すぎるから話しちゃいけないことも話すと思うけど、そこはちゃんとカットしてね(笑)。

西島 わかりました(笑)


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半分以上オフレコ内容で進むインタビュー

dofの設立、電通グループからの独立

西島 まず、知らない読者も多いと思うので、dofの設立経緯からお聞きしても宜しいでしょうか。

齋藤 dofは、2005年に設立して、今年の5月2日でちょうど10年が経ちました。なぜ2005年の5月に設立したかって言うと、その年の4月に大島さん※1が60歳の誕生日を迎えて、それまで勤めていた電通から定年になることになったんだよね。ボクは、その時、電通で資生堂の営業担当として、当時CDだった大島さんと仕事をしてたんだけど、そりゃ、めっちゃ凄い人で。一緒にやっていたキャンペーンとかで何度も救って頂いてた。

※1 大島征夫(おおしま・ゆきお)

クリエーティブ・ディレクター
1973年電通入社、クリエイティブ・ディレクターとして活躍したのち、2005年にコミュニケーション・デザイン会社dofを齋藤太郎と共に設立。
サントリー「角ハイボール」、「トリスハイボール」、「山崎」、「白州」、「天然水」、JR東日本「新青森キャンペーン」、「SUICA」、KDDIなどを担当。84年にトヨタ自動車の「安全キャンペーン」でTCC賞クラブ賞、90年にフジテレビ春のキャンペーンでADC最高賞のほか、朝日広告賞、日経広告賞、ACC賞、毎日広告デザイン賞最高賞、クリエイター・オブ・ザ・イヤー賞など受賞多数。

齋藤 大島さんに定年後どうするのか聞いたんだよね。そしたら「隠居する」って言うから「どんだけもったいないんだ」と思って。「これは世の中の損失だ」と。大島さんは、もちろん作っているものも素晴らしいけど、人間的にも素晴らしい人だから、優秀な人が大勢寄ってきて、常に良いモノを作り続けている。ピュアで、人間くさくて、ともかくボクは大好きで。「もったいない。もっと大島さんと一緒にいたい。そして、このおっさんをもっと働かせなきゃ」って思ってdofを立ち上げたんだよね(笑)。

西島 もっと働かせなきゃって(笑)。2年前に電通グループを抜けられたのは何か特別な想いがあったのですか。個人的には、電通グループにいてある程度自由に仕事もできつつ、巨大な電通のバックボーンがあった方が経営する上でも、クリエイティブをやっていく上でも、申し分ない環境だと思うのですが。

齋藤 電通は素晴らしい会社で、自分自身ももの凄く成長させてくれたし、心から感謝している、ボクも大島さんも大好きな会社。でも、そこにいつでも戻れるっていう形じゃダメだなと思ったんだよね。電通辞めて社長になって、でもグループ会社だとリスク取ってない側面があるじゃない。

潰れそうになってもある程度電通が守ってくれるとか、逆に電通の意向に左右される部分もあって。dofがこれからも独立した一つの会社としてやっていくためには、リスクを取らなきゃいけないと思った。それは、今後新しい事業を始めるということも含めて。


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いつも以上に楽しそうにインタビューに興じる西島編集長

dof流仕事の仕方

西島 太郎さんの仕事って、太郎さんがいて、別にCDを立てたり、プランナーを立てたりすることも多いと思うのですが、コミュニケーションデザイナーという肩書きで立ち回る上で、意識していることはありますか?

齋藤 立ち回り方に関して、特にこだわりはもってないけど、案件によって結果的に変わってくるかな。「角瓶」とか「新経済連盟」とか「キャンディークラッシュ」とか「EDWIN」とか、ことごとく全部やり方が違う。例えば「新経済連盟」は戦略の立案から、クリエイティブに関わる定着まですべてを担当しています。
サントリーの「角瓶」「トリス」「響」などのウイスキーは、電通が強いチームをガッツリ作っていて、大島さんがECDとしてクリエイティブの統括をやってる。一緒にやっているスタッフはほぼ全員電通のメンバー。角瓶の作業でボクがやることは、足りないパーツを補うこと。クライアントさんとのコミュニケーションだったり、プロモーションやデジタルのアイディアを出したり、電通の営業といいチームになるように動いたり、必要に応じて大島さんの相談相手になったり。あんまり表に出ずに「あいつ何やってんだかよく分からないけど、いた方がいいな」みたいな存在でいたいと思っています。

西島 「キャンジャニ∞」のCMが話題のキャンディソーダはどうですか?

話題のCMはこちら

齋藤 キャンディーソーダの場合は、キングジャパンの社長である枝廣憲さんが、ボクの電通時代の後輩で、新入社員の時にボクの下に来て、慕ってくれていたんだよね。1年しか同じ部署にいなかったんだけど、その時からすごく可愛がっていて。
その後、電通を辞めた枝廣さんがキングの日本法人の立ち上げをやることになり、今まで挑戦したことないモバイルゲームの世界、任天堂のマリオみたいな国民的なコンテンツになるようにコミュニケーションを設計したいということになって、全体の戦略とかクリエイティブのコントロールをdofがやって、クリエイティブやメディアバイイングの心臓部分はワトソンクリックの山崎さんや信頼のおける電通のメンバーにお願いしています。

西島 なるほど。外に出て行くコミュニケーションだけではなく、アウトプットに至るまでのチーム内のコミュニケーションまでデザインするということですね。

齋藤太郎って何者なの?

西島 今の質問とも繋がるのですが、太郎さんが広告業界のほかの人と比べて違う所ってどこだと思いますか?

齋藤 僕がこの業界の中で人と違うというか、変わっているのは、電通でメディアをやって、営業をやって、この会社を立ち上げてからクリエイティブをやって、さらに経営もやってるっていう所で、この4つをやっている人間ってたまたまなんですが、多分日本にいないと思うんです。

西島 メディアから営業とか、営業からクリエイティブっていうのはありますけど、メディア、営業、クリエイティブ、独立っていうのは、確かに聞いたことないですね。

齋藤 メディア、営業、クリエイティブ、経営を4つやってきて、うちの会社も10年やったので、そうすると経営者の視点に立って物事を考えられるというのはそこそこ強みなんじゃないか、と。あと、電通みたいな大きな組織に新入社員からいて、そのあと外に出て、色んな会社と付き合っていくうちに、関わるすべての方々がどういう視座で物事を考えてるかっていうのが想像つきやくなったんだと思います。
クリエイティブの人たちはどう考えているか、宣伝部の課長さんはどう考えているか、宣伝部の担当役員はどう考えているか、トップはどう考えているかとか、色んな視点に憑依できるのが強いんだと思う。

西島 太郎さんがよく言ってる「広告は広告賞より結果がすべて」というのも経営者の視点から来てるんでしょうか。

齋藤 ボクが本当は一番得意なのは経営に関わるようなところから、最終的なアウトプットにいたるまで、垂直統合で物事を考えられるところなのかも。自分が関わったコミュニケーションが、最終的にどれだけ結果につながったかを見るのが好きです。広告はあくまでも広告主のものなので、どれくらい売上だったり、認知だったりとかに役に立ったかっていうのが広告をやる上では一番重要だと思ってます。
あと、ボク自身はクリエイティブの作家性は高いほうではないと思っているので、ビジネスの領域を見ながら、いいモノづくりを上手くブリッジできたらいいなって思っています。広告主にとって、広告は重要な投資であり、切実にリターンが求められるべきものなので。そして、せっかく自分が関わるのなら、結果はもちろんのこと、表現としても世の中をハッピーにするような、いいものをつくっていきたいです。広告、好きなので。

クリエイティブと経営

西島 dofが電通から独立してから、いわゆる広告業以外の仕事が多いと感じるのですが、その辺どういうモチベーションでやられているのですか?

齋藤 そもそもの話としては、今やっていることや、今いる場所はずっとないな、っていう気持ちがあるのと、dofは自分そのもので、社員も家族だと思ってるから、何がなんでも絶対にこの会社を存続させて行かなきゃならないっていう想いが強いので、やったことがない、新しいことにはどんどん挑戦していきたいと思っています。

西島 クリエイティブというビジネスをフカンで捉えて、経営者として新たな領域にもチャレンジしながら、dofをベストなクリエイティブ企業に導いていくということですね。

齋藤 経営者をしていると、投資をしてるっていうリスクに対しての感覚がシビアになるっていうか、西くんとボクはビジネスの根幹の話とか(下品ではない)お金の話を良くするよね? クリエイティブをビジネスとして捉えて話をするのと、捉えないで話をするのとじゃ同じことやってても見方が全然変わるような気がします。

新事業のこと、TONEのこと

西島 次に新事業のことをお伺いしても宜しいでしょうか。最近のサプライズで言うとトーンモバイルのCMO就任だと思うのですが、あれはどういうきっかけでやることになったんですか?


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    話題のTONE携帯。とてもオシャレ

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    料金プランもとてもわかりやすい

TONE

TONE(トーン)は、2015年5月よりTSUTAYAで販売しているスマートフォン。最大の特徴は通話基本料・パケット通信込みで月額1,000円の利用料金。そして、充実した無料のアフターサポートです。スマホ初心者やお子様にも使いやすく、ファミリー層を中心に話題を呼んでいます。

齋藤 きっかけは、昨年の夏に新経済連盟クリエイティブディレクターをやらせて頂いて、そこで知り合ったフリービットの石田宏樹社長に誘われて、一緒に事業の立ち上げを手伝ってくれないかと言われたことです。

西島 CDからビジネスパートナーって、めずらしい展開ですね。

齋藤 スマートフォン事業自体は、フリービットが独自に2013年の11月から開始して、そこにCCCの増田宗昭社長が興味を示して、技術力があるフリービットと、マーケティング力と販売力があるCCCが業務提携して、「新しいブランドをつくろう」ということになりました。
西島 通信会社のCMOってかなり多忙そうですが、dofで広告コミュニケーションやりながら、受ける気になったのはどうしてですか?

齋藤 一番は「粋」に感じたからです。自分が必要とされるのは嬉しいですから。あとは、石田社長が「日本のスティーブジョブズ」って言われているくらいインターネットのことをよく理解していて、増田さんは増田さんで、全国に1,400店舗以上あるTSUTAYAや、代官山の蔦屋書店や二子玉川の蔦屋家電のようなぶっ飛んだお店をつくっちゃうような凄く魅力的な人だから、この2人とだったら、今までにない世界が見られると思ったからです。今の自分はまだ成長段階だと思っているし、知らない領域の方が成長の度合いが大きいと思ってます。

西島 マーケティングのトップということは、それこそスタッフのマネジメントとかもするんですよね? 現状どうですか?

齋藤 今は4-5人いますが、今後もっと増やしてく必要はあると思います。

西島 dofはどういう関わりをしていくんですか?

齋藤 dofの社員は、半分石田さんの部下みたいなもんだから全員TONEやんなきゃいけない(笑)。

西島 太郎さんがいわゆるクライアント側になるっていうのが、かなり違和感があるのですが、クライアントを外からサポートする側にいた人間として、色々組織として見えている部分もあると思うのですが。

齋藤 今は、いかに正しく意思決定をして、効率良く作業を進めていくかが重要だと思うので、社内、社外含めどんなメンバーをスタッフィングするかっていうのが、一番大事だと考えています。クリエイティブスタッフでは、電通内でも優秀なスタッフの3キャリア間での奪い合いが凄い中、高崎卓馬さんと戸田宏一郎さんに手伝って頂けることになったのが大きいと思います。


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TONEの説明を受け西島編集長、完全に機種変モードに

ビジネスマン1万時間の法則

西島 晶太君的にはどうかな? 晶太君は電通とか挟まず、いきなりdofだと思うのだけど、太郎さんの動きが従来のクリエイティブ的な動きと違い過ぎて混乱したりしない?(笑)

畑間晶太(以下、畑間) 入社当時は混乱もしましたが、今はとにかくどんなことでも1回吸収する柔らかさを持つことを心がけています。営業、プロデューサー、クリエイティブ、そして経営を側で感じられるポジションはとても貴重な経験だと思います。それを5年とかやり遂げれば必ず人とは違うものが見えてくると思っています。もちろん失敗することもありますけど、失敗したらすぐ改善すればいいだけの話なんで。TONEの石田さんがよく言う「早く行動して、早く失敗して、早く改善する」ですね(笑)


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畑間さんはdof5年目

西島 クリエイティブをやっていてよく言われるのが「1人前になるまで10年はかかる」。それはそれで実感値としては納得していて、それくらいやらないと広い視点で企画とかディレクションとかできないなって言うのはあります。だけど、年数じゃなくて中身ですよね。どのくらい死にものぐるいでこの仕事をやるかっていう。

齋藤 いつも思っているのが、「1万時間の法則」。スポーツとかでよく言うんだけど、1万時間練習するとある程度いっぱしになる。これは計算すると7年とかなんだよね。だけど仕事って、もっとやるよね? そうすると3~4年で1万時間になったりする。最初の3年間でテレビのタイムやって、次の3年間でスポットやって、営業4年やって、dof作って取締役4年やって、社長を4年やって、で独立して2年経った。1万時間の法則じゃないけど、これから3〜4年でどんどん違うことにチャレンジし続けたいって思ってます。

西島 太郎さんは10年ごとでも自分のキャリアを見てるって言ってましたよね?

齋藤 22歳から32歳が電通、32歳から42歳がdof、今年は42歳だから受託じゃない事業に挑戦するスパンだと思っていて、これを52までやろうと思ってます。で、何やるか決まってないけど62歳までまた違うこと、72歳までさらに違うことやって、72歳で引退しようと思ってます。スポーツ選手じゃないし、いつまでだって現役で色んなことできると思ってるんだよね。

若いクリエイター達へのメッセージ


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dofの未来を語る齋藤氏

西島 最後に、街クリは広告業界限らず、若いクリエイターの方々も数多く見ているのですが、太郎さんから若いクリエイターの皆さんにメッセージなどあればお願いします。

齋藤 色んな事情があったり、忙殺されていたりして、中々自分のやっていることに満足できない人もいるかもしれません。でも、これだけ覚えて欲しいのは、「自分の幅は自分で決められる」ということ。「お前の幅はそんなもんじゃないだろ」って言ってくれるのを待っていても誰も言ってくれない。自分の会社を作ろうとか、すべてを投げうって違うことをやろうとか、そんな大それたことじゃなくても、クリエイティブやりながら友達のアーティストを応援するとか、全然喋ったことのない隣の部署の奴とチーム組んで何かやってみるとか、最初は何でもいいんだと思います。環境のせいにしないで、自分から動いて、新しい一歩を踏み出して、それを続けていけば、新しい道は開けるんだと思います。

西島 本日は色々とお話頂き有り難うございました。こんな真面目な太郎さん久しぶりに見ました(笑)

齋藤 ほとんど喋れないことな気がするけど、これでまとめられる?

西島 大丈夫です。何とかします(笑)

西島編集長「編集後記」

太郎さんと出会ったのは、2008年。電通の東畑幸多さんに某キャリアの競合プレ作業に誘って頂きチームインした時だった。その後、沖縄料理屋でさし飲みしてすっかり太郎さんのファンになり、7年間公私ともにお世話になっている。太郎さんを一言で言い表すと「ミスター電通」。私が学生時代想像していた電通マンそのものだ。イケメンで仕事ができて男気がある。決して人を裏切ったりせず、それでいてとことんお馬鹿。後輩からはひたすら慕われるし、上司も可愛くて仕方ない存在。
もし退社前に太郎さんの下で働いていたら、もう少し電通にいたかもしれない、そう思ったこともある。

そんな太郎さんがその人間力と才能で活躍の場を拡げている。従来の広告マンの壁をぶち破ってズルズルとみんなを引きずり回し、突進を続けている。「クリエイターはビジネスが下手だ」と言われる。しかし、太郎さんを見ていると、ビジネスのできるクリエイターはチャンスだと思う。
クリエイターの強みは決定力だ。ゴールを立体的に捉え、無数のシュートコースから確信を持って1つを選び出し、鍛え上げた技術でイメージと寸分違わぬシュートを打つ。アウトプットを司れるビジネスマンがいれば、この国をもっと面白くできる可能性が高い。そして、クリエイターはそうなれる素養を持っている。

クリエイターがクリエイターとしてではなく、ビジネスマンとして、クリエイティブ産業を拡大させる気概で暴れて行くことこそが、クリエイターの可能性を拡げ、クリエイターの活躍の場を拡げ、日本を今より少しワクワクする国に変えられるのかもしれない。

西島知宏

街角のクリエイティブ ロゴ


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