ギャルは「あいつマジ何なの!? ありえないんだけど!? マジ最悪」と自分の髪の色を棚に上げてブチ切れていたんだけど、上司は上司でギャルがブチ切れているのをお構いなしで注意し続けた。
僕はブチ切れるギャルに「向こうも仕事で言ってるんだから怒りなさんな」と言いつつ、上司も粘り強い性格だなと思った。この世でギャルに向かって髪色を注意し続けられる人ってそう多くないと思う。
しかしギャルは茶髪が命の次に大事なのだから大目に見てあげればいいのに、と個人的には思っていた。
それからも事務所で注意する上司と、その上司にメンチを切っているギャルという光景を度々目にしたし、そのたび休憩室で「あいつマジありえない! まじムリ!」とギャルは荒ぶっていた。
幾度となく繰り返されるそのやり取りと、上司の根気強さについにギャルも観念して、ある日「見てよ、めっちゃ黒くしてきた」と髪を染めてきた。
といってもまだだいぶ茶髪だったけども、前に比べたら全然黒かったので、それでよしと言うことになった。
ギャルの方は髪の毛の色を注意された時だけは反抗的な態度を示すが、それ以外の所では勤務態度も真面目で愛想も良かったので、上司も「このくらいなら許してあげるか」という気持ちになったんだと思う。