いや。今からだって、言えるかもしれない。・・・息を大きく吸い込み、LINEを取り出し、すぐ送った。
「本当は好きだって言いたかったんだけど」。
本当は、ちゃんと言いたかったけど。本当は、こんなの格好悪いかもしれないけど。でも、この気持ちは止められないから。震える手で、スマホを握り、LINE画面を見つめる。頼む、頼む。
たっぷり1分たってからポツンと返信が届いた。
「わたしも本当は好きだって、言って欲しかったよ?」
電車がどれだけ、ユウジと彼女を離していっても、二人の心の距離はもう離れないだろう。
おめでとうユウジ、君はよくやった。彼らの恋が、やっと咲く。春だ。
*
と、こんな具合にちがいない!!! コングラッチュレイション! ユウジ!!!! 思っていた形じゃないけど、告白成功だね!!!!! ああ、いい春になりそうだ!! 二人とも末長く幸せにね!!!! と思ったが、そういえばこれは全部妄想。本当のところはわからないのだった。どうか彼らが今頃、二人仲良く手をつないでいますように。
【過去の「さえりの”きっと彼らはこんな事情”」はこちら】
・自撮り女子の本音
・理想が高すぎる女
・別れ話をされる女
・旦那のことが好きすぎる
・大豆に似ているエリコ