ヒストリーは小説の中に
『伴走者』の4年間の取材では、キューバにも行ったり。
そのキューバで逮捕されたり。
そうなんですよ。撮影機材のなかのハードディスクが持ち込んじゃいけないタイプだったりとかで拘束されたりして。
もうね、ぼくらご飯食べながら話してると、鴨さんのとんでもないエピソードが山ほど出てきて、仰天するんですよ。事故で脚が取れたとか、キューバで逮捕とか、亡くなったお父さんはアメリカの諜報活動に関わってたんじゃないかとか、神戸での震災の経験とか。次の小説は、私小説というか、浅生鴨という人のヒストリーを描いて欲しいんですけどね。
そういう経験は、少しづついろんな別々の小説の中に滲み出て行くんじゃないかと思うんです。
小説家って、なりたい人がなるんじゃなくて、なってしまうものなんだなぁ。
小説家なんてなっちゃだめですよ! 原稿用紙を置いておいても、自分が書かなきゃ絶対埋まらないんですよ。こんなしんどい仕事ないですよ。
ぜったい埋まりませんよね。だれも埋めてくれない。
では、そろそろ帰ります。
えっ。
ちなみに、「浅生鴨」っていう名前は著作権フリーなので、誰が使ってもいいんです。
えっ。
みんながみんな浅生鴨って名前で書き始めたら、書店に行っても図書館に行っても「浅生鴨」だけがずらっと並んでいて、すごいじゃないですか。
・・・。最後に、小説『伴走者』を読んだ人、これから手に取ってくださる人にひとこと作者からメッセージを。
買ってください。
言うと思った。
まずは買うことからです。買うまでがどくしょ。