SF作家としての浅生鴨
発表順は前後しますが、新潮社から出た初の長編小説『アグニオン』。僕が鴨さんの小説世界に触れたのはこれが最初です。
友人が、この小説をプロモーションするビデオを作ってくれまして。
Reference:YouTube
この小説、すごい好きで。ジュブナイル、つまり少年少女向けSFという触れ込みなんですが、これがもう本格的なSFでびっくりしました。僕の好きな世界がいっぱい入っていて。
小説だったら光瀬龍『百億の昼と千億の夜』とか、漫画だと萩尾望都とか、映画だったらアンドリュー・ニコル監督の「ガタカ」とか。
クリストファー・ノーランぽくもあるし。
これを最初の長編にしようと思ったのは。
新潮社の編集者さんと相談して、いま、たとえば中学生が初めて読むようなSFってないよね? だったらやってみようかって。だから、いわゆるSFとしては、「既視感」がある設定をあえて全部詰め込みました。
だから僕が好きなSFの要素が全部入ってて、思いあたるところがあるんだ。
そのなかで、SFってこうなんだ、小説ってこうなんだって中学生の入り口になればと。
そういう意味ではやっぱりジュブナイルなんですね。これはみんなに読んで欲しいです。ジュブナイルっていうから糸井重里さんは買って読まずに机に積むのに命かけてますけど、「大人が読んでも面白いんですよ」と今度あったら力説します。