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こどもはカネでは動かない【連載】松尾英里子のウラオモテ

松尾英里子 松尾英里子


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3週間で日常を変える【連載】松尾英里子のウラオモテ」での3週間プログラム同様、こちらも非常に上々な滑り出しを見せた。朝から「みんなのごはんよそうよ~」と非常に調子よく、また、食べ終わると進んで食卓を片付ける。そして「テーブルふくから、ふきんちょうだい」と、一体どこの良い子だろうと思うくらい、それはそれはせっせと働いてくれた。もちろん、ごはんをよそいながら、こぼしてみたり、テーブルの汚れもうまくふき取り切れなかったりするのだが、でもそれでもいい。

私は、「すっごく助かるわ~」と大袈裟なほどに喜んでみせて、息子もなんだか嬉しそうだった。そして私は、「お仕事してくれてありがとう」と、シールを1枚、壁の台紙に貼った。ひと月経つと、シールは23枚貯まり、息子はお給料として、めでたく23円を手にしたわけである。

息子は、自作の貯金箱に十円玉2枚と1円玉3枚を大事そうに入れ、時折上下に振ってはシャンシャンと鳴る音ににんまりしていた。(ちなみに、本来はもっとシールが貯まっているはずなのだが、食事中にふらふらすると2枚マイナス、とか、汚い言葉を使うと1枚マイナスとか、様々なペナルティを科されているうちに、23枚になってしまった。)

23円では、このご時世、ペットボトルの1本も買えないが、それでも息子は十分満足そうだった。ところが、2か月目に突入した、ある夕方のことである。

 

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