(やっぱり、まだ彼のこと好きなのかもしれない)。
自分の中に小さくある気持ちを持ち出してみる。そしてすぐに、(いや、彼が好きなんじゃなくて、彼を好きだったときの自分が好きなだけなんだ)と思い直す。自分の気持ちの扱いは、まだわからない。けれど、1枚の自撮りに気持ちを込めたって・・・いいじゃないか。
たとえ、もう付き合うことはなくても。
それでも彼の目に、どうか触れていますように。
もう一度だけ願いをかけ、彼女は毛布にくるまる。
毛布の中から、くぐもった音が最後に一度だけ響いた。
ひゅっ。
ぱっ。
*
と、まあ、こんな感じに違いない。
そういうことならマリカ、どんどん写真をアップしていいんだよ。別れたことを後悔していなくても未だ独占欲があるその気持ち、わかるわかるよ。って、本当のところはどうかわからないけれど。
ちなみにここまで「自撮り女子の背景には好きな人がいる」みたいなことを書いてしまったが、今や自撮りのハードルはかなり下がっているので「ごく単純に、暇だから撮ったら、かわいかったので載せてみた」という場合も存在する。
というか、ほとんどの場合はそうかもしれない。やっぱりマリカもそうだったのかもしれないな。ていうか、あの子がマリカかどうかもわたしは知らないままだけど。
【過去の「さえりの”きっと彼らはこんな事情”」はこちら】
・理想が高すぎる女
・別れ話をされる女
・旦那のことが好きすぎる
・大豆に似ているエリコ
・予約しなかったマリオ