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知をつくるもの【連載】松尾英里子のウラオモテ

松尾英里子 松尾英里子


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「ママ、たいへんよ~! ほこりがおちてきたよ。い~っぱい、ほこり!」

先月、たぶん生まれて初めて空から舞い落ちる雪を見た2歳の娘は、その様子を見ながらこう言った。

はらはら、ひらひらと降ってくる雪。普段、めったに雪が降らない地域に住んでいる私にとっては、数年に数回あるかないかの雪は、ちょっとばかり特別だ。雪が降るのだからたしかに寒いのだけれども、その寒さをほんの少し忘れるくらい、見入ってしまう。雪の結晶は、ひとつとして同じ形はない。昔、理科の時間に教科書で読んだ知識が思い出されて、手のひらの上をじっと見た。雪は、あっという間に水に変わった。

それにしても、娘には、雪がほこりに見えたのか。

私は思わず笑ってしまった。今しか言えない、可愛らしい発想だなあ。でも、ほこり、というワードが娘にとってそんなに慣れ親しんだものだというのは、普段、それなりに掃除も頑張っている母としてはやや苦笑ものだなあ、とも思った。きっと、彼女がこれまで触れてきたものの中で、ほこりこそが、雪に一番似ていたのだろうな。それもわからなくもない。

「あれはね、ほこりじゃなくて、雪だよ」と教えると、「ゆきだーゆきだー」と今度は大騒ぎ。これまでも雪の映像を見たり、雪が出てくる本を読んだりしたことは何度もあったけれど、やはり、実体験に勝るものはない。それを改めて教えられたような気がした。

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