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理想が高すぎる女【連載】さえりの”きっと彼らはこんな事情”

さえり さえり


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他人の事情を勝手に想像するこのシリーズが、なんと10回目を迎えた。わたしは2016年4月からフリーランスのライターとして仕事を請け負っているが、ここまで「なんの学びにもならないコラム記事」を書いたことはないし、さらに言えば、この「勝手に他人の事情を想像する」という行為でお金がもらえているなんてびっくりする。田舎のお父さん、お母さん、わたし、他人の事情(しかも事実とはまるで関係ないもの)でお金もらってるよ。

さて、10回目は何を書こうか。どうせなんの学びにもならないなら、せめて心温まるような話が書きたい、と希望・願望を述べたって、街中でそういう人との出会いがなければこの記事は成立しない。心温まる話をしているやつはいないか、と、ハンターのような目で渋谷を練り歩いてみたが、残念ながらハートウォーミングピーポーはいない。

諦めてカフェに入り、席に座ると、隣に座っていたテンションの高い女の子二人がこんな話をしているのが耳に入る。

A「いや、ぜったいに無理。まじ無理。男として見れない」

B「え〜? あんなにいい感じだったのに?」

A「いや、わたしもそりゃいい感じになればいいなと思ったよ? でもさぁ・・・」

B「でも、何よ」

A「なで肩だよ? 無理無理無理。なで肩だけは無理って言ったじゃん!!!! 冬だからわかんなかったけど、すんごいのよ本当に!」

AB「「爆笑」」

B「だいたいあんたは理想が高すぎるんだよー!」

・・・。あぁわたしが聞きたいのは、ハートがウォーミングするようなハッピーでスウィートでキュートな話であって、決してこんな話じゃない・・・・・・。

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