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スマホに残された真実【連載】松尾英里子のウラオモテ

松尾英里子 松尾英里子


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新年早々改めて言うことでもないが、スマートフォンのおかげで世の中は本当に便利になった。地球の裏側にいたってすぐ連絡が取れるし、超クリアな写真がいくらでも撮れる。動画もまた然り。
 

小さいころの自分が動いている映像なんて、そう多くないアラフォー世代の私。

(あ、この前、仲間入りしたんです、アラフォー。この前って言っても、2か月も前ですが。年をとると、「この前」というワードの意味するスパンが長くなる気がするのは、私だけでしょうか?)

「今の子どもたちは、20年とか30年後に迎える彼らの結婚披露宴で流すVTRで、それまでに蓄積された膨大な映像・画像データから、一体どれをチョイスするのだろう、選ぶのも大変だな」などと、余計なことを考えてしまう。そもそも今から30年後に、そんなおめでとうVTRやプロフィールVTRが登場するのかどうかが謎なのだが。
 

それはさておき、世のパパママのスマホ同様、私のスマホも、子どもの写真やら動画やらでメモリがいっぱいだ。記念日、イベント事のみならず、公園、バス停、レストラン・・・撮影のシーンや場所は多岐に渡る。残り枚数を気にしながら、厳選シーンだけ撮っていたインスタントカメラの頃とは違い、「不要なら消せばいい」というスタンスで撮りまくった写真・動画の数々・・・。傑作も愚作もごちゃ混ぜだが、それとはまた別の意味で、この度、衝撃作を発見してしまった。
 

舞台は公園の滑り台だった。なんてことはない、楽しそうに順々に滑り台を降りてくる、という、ごくごくありふれた風景だった。風もなく、日差しもあたたかな冬の日。子どもたちはにこやかだった。たぶん「いい顔してるな」と、ただその他の深い理由もなく、私は我が子たちの動画を撮ったのだと思う。

 

とてものどかな光景だった。しかしその映像とは裏腹に、私は途中から冷や汗が止まらなくなる。問題は、そこに残された、姿なき者の声であった。

 

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