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別れ話をされる女【連載】さえりの”きっと彼らはこんな事情”

さえり さえり


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付き合って1年の間に、浮気発覚数は6回。発覚したのが6回なので、その他にもきっとあるのだろうと思っている。発覚するたびにミワコは、ちょっと怒る。でも結局カッちゃんに「じゃあ、別れよっか?」と冷たくされると「嫌だ」と答えてしまうのだ。我ながら、情けない。頭ではわかっていても、体の細胞たちが彼を好きと言って離れない。吸引力が変わらないのはダイソンだけにしてほしいと、何度友人のワカコに呆れられたかわからない。

4回目に浮気が発覚した時は、いい加減にもう別れようと思った。もうさすがにわたしだって我慢できない、もっと大事にしてくれる人と付き合いたい。思い立って、前から何度か連絡してきてくれる年下の男の子(ユウキくん)に連絡をして居酒屋に行き、愚痴を言いながら二度もイカの塩辛を頼んだ。

「ミワコさん。僕じゃだめっすか? 物足りないですか?」

せっかく、ユウキくんがそう言ってくれるのに。だめだ、どうしてもカッちゃんが頭から離れずに一歩踏み出せない。ユウキくんに告白されて断った日は、タイミングの悪いことにカッちゃんと連絡の取れない夜だった。その日は一人で布団にくるまって、「幸せになれるのに、なんでだろう」と小さくこぼしてミワコは眠りについたのだった。

1年の付き合いの間、ミワコは3回も別れを切り出した。そして、そのたび許してきた。時間はかかっても必ず、許した。好きだったからだ。

・・・にもかかわらず、ついに振られる日がやってきてしまった。

カッちゃん曰く「俺浮気するの直んないし、大事にしてやれないし、時間作れないし」と言う。

その言葉の裏に、他の女が隠れていることにはもう気づいていた。だって、わたしのときもそうだったから。

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