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別れ話をされる女【連載】さえりの”きっと彼らはこんな事情”

さえり さえり


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※なおここから最後まで、すべて妄想でお届けいたします。事実とはだいぶ異なる場合がございますのでご了承ください。

 

 

彼の名前はカズヤで、彼女の名前はミワコ。

カッちゃん、ミワコと呼び合っていると思う。付き合って1年程度なのだが、もし「お互いを大事にしあう」のが普通の恋愛だとすれば、彼らの付き合いは最初から破綻していた。

 

もともと浮気から始まった恋だった。

 

「俺、彼女いるけど」というずるい文句を前に、それでもなんとか一緒にいたいと願って「知ってるけど」と答えたのが彼らの始まりだった。いつかは本命の彼女になれるかも。そんな風に期待したことが間違いだったのかもしれない、とミワコはその後何度も思うことになる。

浮気相手に甘んじて半年が経った頃。カッちゃんから急な呼び出しがあり、向かうと開口一番彼女と別れてきた、と言った。

「えっ、本当?」
「うん」
「ちなみに・・・どうして?」

ミワコが好きだから・・・と言ってくれ言ってくれ言ってくれと願ったが、彼の回答は「いや、飽きたから」だった。わたしのほうが好きになったわけじゃないのか。がっかりしたが、「じゃあ付き合ってくれる?」と聞き、スライド式に本命の彼女になった。けれど幸せはつかの間。カッちゃんはすぐに朝帰りするようになったのだ。

もちろん本命の彼女らしく「浮気してるでしょ」と怒った。

でもカッちゃんは悪びれない。「まあそうだけど、何?」と返してくる。信じられない。目をパチクリさせ、大きな声で「ありえない!」と怒ったが、対抗するように彼はゆっくりとまばたきをして、ひどく冷たい声でこう言う。

「俺そういう人なの知ってるでしょ?」

そうして、ミワコは何も言えなくなってしまう。たしかにそうだ。最初から、この人のことはわかっていた。それに、正直の正直なところミワコは、カッちゃんのモテるところが好きなのだ。チャラくて、女の子扱いが上手くて、時折見せる仕草が色っぽい。背が高くて、腰のラインがなだらかで、褒めるのが上手。それは数々の女の子を乗りこなしてきたから身につけられた所業なわけで、この先もそのテクニックを磨くためには多くの女の子が必要なのかもしれない。本当はどこか、そう諦めているところもあった。

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