無理やり誘われて行った合コンで、同じく無理やり誘われたという未来の旦那“むっくん”がやってきたのだ。
むっくんは、別にイケメンでも特段器用なわけでもないのだけれど、とにもかくにもサチコのツボにジャストミートした。いや、ジャストミートなんて言葉じゃ足りない。いうなれば、ウルトラファイヤーボンバーエレクトリカルナンカトニカクコトバニデキナイホドジャストミートだ。
これまでの失恋経験に怯えてなかなか近づけずにいたところ、むっくんから誘ってくれるようになり、2年の交際を経て「そろそろ結婚かもね」というムードが友人の間でも立ち込めるようになった。
サチコは訝しがっていた。こんなに順調で幸せなんておかしいんじゃないか・・・? と。
怪しいなと感じたことは一度もなかったが、強いて言えば最近スマホを見るときに手元を隠しているような気がするし。
震える気持ちと信じたいという気持ちが同時に溢れ、サチコはついに「パンドラの箱」を開けようとスマホに手を伸ばす。パスワードはたしか、「0000」・・・。
ガタッと音がして、慌てて視線を向けるとお風呂に入ったはずのむっくんがその場に立っていた。
「あ」
「あ」
一瞬目が合い、顔じゅうに血液がぶわっと上がってきて、心臓がばくばくと跳ねた。むっくんは慌ててスマホを取り上げ、「もしかして・・・見た?」と言ってきたのだ。
「な、なにを・・・?」
もしかしてやっぱり浮気していたのだろうか。それともとてつもなくセクシーな同僚と夜景の綺麗なレストランにでも行ったのだろうか。わたしのことは遊びだったのだろうかーー。勝手に妄想し、泣きそうになりながら問うと、むっくんは照れ臭そうに「なんだ・・・。み、水虫の治し方調べてたのバレたかと思った」と言い出した。
ああ、もうこの人しかいない。