「アウトレイジ」シリーズのおさらい
さてさて。「最終章」というぐらいですからこの映画は続編で、しかもシリーズ最後の映画なわけでございます。
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まず2010年、第一作「アウトレイジ」。本来はシリーズ化するつもりはなく、これ一作だけの企画だったと北野武監督はいろんなところで語っています。
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が、第一作が大ヒットしたためにさらにパワーアップした続編ができました。それが2012年の「アウトレイジ ビヨンド」です。
ここまでのストーリー、人間関係がよくわかる映像が映画会社公式でアップされています。今までのシリーズを観た方も、そうでない方もぜひご覧ください。
『アウトレイジ 最終章』公開記念!3分でわかる「アウトレイジ」シリーズダイジェスト
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僕は、「アウトレイジ」「アウトレイジ ビヨンド」とも公開時に劇場で観て、その後なんどもDVDやBlu-rayで観ています。はっきり言って、大ファンです。
1作目「アウトレイジ」は、斬新なバイオレンス描写が新鮮でした。その暴力の連鎖の中で、そもそも悪い人間しかいないヤクザ社会においてもさらにきわめつけのワルが生き残る。キャッチコピーも「全員、悪人。」
「勧善懲悪」から最も遠いリアリティは、たとえば、ドキュメンタリータッチのカメラワークを用い、「仁義なき戦い」と銘打ってはいるけれども、結局「スジを通すか否か」、そして「生と死に意味はあるか」を描いていた深作欣二の東映実録ものへのアンチ・テーゼになっていました。
2作目「アウトレイジ ビヨンド」は、警察の介入による謀略もあり、権力闘争のエンタテインメント性が増していました。前作であえて決着をつけなかった、観客がイライラする部分にダークヒーローとしての主人公、ビートたけし演じる「大友」が決着をつける。
また、暴力よりも言葉による応酬、言質の取り合いに見所が移っており、コノヤローとバカヤローの怒号合戦は「漫才」に近く、その魅力に取り憑かれたら、かなりの中毒性がある映画と言っていいでしょう。とりわけダーティな言語感覚の魅力を放っていたのは西田敏行と塩見三省の2人でした。
「アウトレイジ ビヨンド」でのこの2人の姿がこちらに上がってますのでちょっと見てください聞いてください。
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怖いでしょ塩見さん。塩見三省さん!!
CMプランナーの僕は、塩見さんにお願いしてテレビコマーシャルに出演していただいたことあるんですよ。
白鶴酒造 『上撰白鶴』 TVCM30秒
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さっきのヤクザと全然違う!! いやぁ、この理想のお父さんっぽい、理想の上司っぽい塩見さんをヤクザ役に起用した北野武監督、さすがです。僕とはクリエーティブ能力が天と地ぐらい違いますね。
迷惑もハローワークもあるかい!
映画「アウトレイジ 最終章」、物語は韓国・
そして「アウトレイジ」シリーズのみならず、キタノ映画全てに共通することですが、小さな争いの発端があっという間にエスカレートして、暴力の連鎖が止められなくなるという展開。今作のキャッチフレーズは「全員、暴走。」
ピエール瀧演ずるヤクザが韓国・済州島で不作法を働いてしまう。それに対して動く大友と大森南朋演じる弟分。
韓国と日本にまたがって影響を発揮する大物が「補償」と「暴力」のシステムを作動させる。
それに対応しながらも、自分たちの権力闘争を遂行しようとする日本の暴力団組織。
西田敏行と塩見三省は、前作から今作の間にふたりとも大病を患い、かなり雰囲気が変わっています。
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脳出血の大手術からの復帰だという塩見三省。初めは僕、塩見さんだとわからないぐらいでした。しかし、ある意味前作からの時間の経過を感じさせてくれます。中間管理職的なポジションで困る様子はむしろハマリ役だったのではないでしょうか。
西田敏行は頚椎の手術を経ての出演なので、全編座っています。ですが「迷惑もハローワークもあるかい!」は実際にハローワークに通う僕にはかなり響く名セリフでした。