で、「ダンケルク」
そして！ 日付は前後しますが、2017年9月9日の公開初日に駆けつけて今回議題にするのはこちら、「ダンケルク」。
予告編をご覧ください。
映画「ダンケルク」予告編
Reference：YouTube
脚本・監督は、クリストファー・ノーラン。
出典：IMDb
撮る映画撮る映画大ヒットで、もはや巨匠とも呼ばれる監督ですね。ノーヒット・ノーランじゃなくて全ヒット・ノーランですよ。字を大きくするほどじゃなかったですね。すみません。
映画「ダンケルク」、物語は、史実に基づいています。ノーラン監督始めての実話ベースものです。
出典：Wikipedia
まず、地図を見てください。フランスとイギリスが狭い海峡を挟んでとても近くなってるところがありますよね。ここがドーバー海峡で、そのフランス側の海岸に「ダンケルク」って海水浴場があるんですよ。
時は1940年、ドイツが周りの国を侵略し始めて、第二次世界大戦が始まりました。
フランスにも必ずドイツ軍は来るだろうということで、イギリスもフランスに支援の部隊を送っていたんですが、ドイツ軍は正面から来ないでオランダの方を回ってフランスに入ってくるんです。で、不意を突かれて40万人がダンケルクの海岸まで追い詰められちゃうんですね。
ドイツ軍は追い詰められたイギリス軍とフランス軍の兵士たちに、こんなビラを撒きます。「包囲してますよ。降伏すれば命は助けますよ」と。
海岸に追い詰められた軍隊の大多数はイギリス兵で、彼らは海水浴場でひたすら本国から助けの船を待ちます。そこへドイツ軍の爆撃機が爆弾を落としていきます。バタバタと目の前で人が死んでいく。
この追い詰められた40万人を救うために発令されたのが「ダイナモ作戦」で、ダンケルクから逃げられるのかどうか、がこの映画のすべてです。
ところが、この背景は僕がいま戦史の本を読んで説明しているわけでして、映画ではこのビラがチラッと映る以外、なんの説明もされません。
出典：IMDb
とにかく、全体像が見えないんです。自分の視点しかない。いま何が起きてどうなってるかわからない。ドイツ軍はどこにいるのか。なぜ救援に来ないのか。どうすれば逃げられるのか。
兵士が体感した戦場とはどういう空間で、どういう時間で、どういう音か。観客は、その状況に説明なしでとにかく放り込まれる、そんな映画開始5分間ですね。
