突然ですが、みなさん。平日の友達とのスケジュール調整って難易度高いですよね? 金曜夜に仕事が早く終わったり、平日昼間打ち合わせ前に1時間空いてる、なんてことがあっても「きっと誰もつかまらないだろう」とあきらめ、一人でしっぽり過ごすのがオチだったりしますよね。
一方で、スケジュール調整が異常に上手いエリートビジネスマンは、どんなスキマ時間でもサクッと友達を誘って楽しい時間を過ごしたり、デートしていたりすると言われています。いいな、エリートビジネスマン。見たいな、鬼のスケジュール調整・・・。
ということで今回私は、スケジュール調整の鬼であるエリートサラリーマンを探し出し、どんなスキマ時間でもサクッと友達を誘う、その妙技をこの目に焼きつけてみたいと思ったわけであります。
そして、探し出したのが彼です。
慶應卒財閥系総合商社勤務 三田隼人(仮名)さん 32歳
都内某所平日に、スケジュール調整の鬼に密着し、サクッと友達を呼んでもらうプロジェクトを実行に移しました。
こんにちは。
どうも。
早速ですが、再度三田さんの経歴を教えて頂けますか?
はい、高校が慶應、大学も慶應、勤務先が財閥系総合商社です。
もう一度、お聞きしてもいいですか!?
高校が慶應、大学も慶應、勤務先が財閥系総合商社です。
「慶應」と「財閥系」という言葉のマリアージュ感が凄いですね。三田さんがお持ちのキラキラワード、もう少し頂いてもよろしいですか?
実家は成城、車は外車、家は西麻布です。
もも、もう少し。
家はタワマン、実家は戸建て、車は左ハンドルです。
ありがとうございます。ところで失礼な質問かもしれませんが、三田さんは仕事ができるんですか?
もちろんです。
ということは、スケジュール調整などはお手のものと?
もちのロングバケーションです。ですが、それが何か?
なんでもありません。今日は、午後半休を取って頂けたんですよね?
西島さんにそう言われたので。
じゃ、「にく」食べに行きましょうか?
にく? って牛肉ですか?
はい。絶対に負けられない企画を成功させたい時、必要なのは気合いでも根性でもなく、肉ですから。
なるほど。
ということでここにやってきました。
泣く子もダマる、名門ステーキ店「ウルフギャング 丸の内店」
いかにも仕事ができる佇まいを見せつける三田さん。
ところで、三田さんクラスになると今日みたいな平日の昼間でもサクッと友達を呼べちゃったりするんですか?
当たり前です。
さすが財閥系。にじみ出る自信です。にじみ出る肉汁を堪能する前に、早速いっちょお友達を呼んでみてもらえますか?
今ですか?
もちろんです。エリートビジネスマンが平日に友達をサクッと呼ぶ、という企画ですので。
『お疲れ様です!今から丸の内でお茶できる人いませんかー?』
とりあえず仲の良いLINEグループのメンバーに「今から丸の内でお茶できないか」サクッと聞いてみました(ドヤ)
-10分後
き、既読無視ですね。30人もいるグループなのに。
・・・。
やはり平日は無理があったのでは?
いえ、焦るのはまだ早いです。こういう時は女性の方がいいかも。Instagramを使ってみようかな。
お、そうこうしてるうちにステーキが来ましたよ!
そうだ! ウルフギャングのステーキで釣るのはどうですか? インスタ映えに惹かれて女子がわんさかやってくるかも。
それだ!
『今からステーキ食べますが、誰か一緒に食べませんか?』
-15分後
いいね!もコメントもゼロですね・・・。
・・・。
-さらに15分後
ステーキも食べ終わりましたね。まぁ、でも、ほら。インスタでピンポイントに人を呼ぶなんてのは、やっぱりハードルが高いですよ。
そんなことない! 必ず呼べるはずだ。なぜなら私は
慶應卒、財閥系総合商社勤務、家は西麻布ですもんね。
西島さん、あきらめたらそこで試合終了ですよ。
使い古された名言ですね。さすが財閥系、歴史に強い。
『今ステーキ食べ終わったんですが、もう一枚食べようか迷ってます。だれか一緒にどうですか?@丸の内』
-20分後
ネット繋がってますよね? 機内モードとかじゃないですよね?
くそったれ・・・。
え? なんかとてつもなく汚い言葉が聞こえた気が。三田さん何か言いました?
言ってないです。
ですよね、慶應卒、実家は成城、財布はボッテガですもんね。
キーホルダーもです。
グッジョブ。
こうなったら、あの手に出ましょう。
あの手、と申しますと?
西島さん、最強のコミュニケーションツールが何か、知っていますか?
何ですか? 最強のコミュニケーションツール?
「電話ですよ」
こ、怖い・・・。
「ごめん、ごめん、今ヒマ? 今さ、ステーキ食べてるんだけどさ、今から食べに、え? 忙しい?」
(秒で電話を切られる三田さん)
・・・。
そういえば三田さん、前職はお台場のテレビ局でしたよね? テレビ局員だったら時間も不定期だし、近くでおびき寄せれば会えるんじゃないですか?
なるほど。
そうと決まったらお会計しましょう。
「西島さん、お台場が僕を呼んでいます。早く行きましょう」
カイリョーです。
-お台場到着
とりあえずお茶することに。
三田さん、お台場に来たからには、こっちのもんですね。
西島さん、人類最強のコンテンツって、何だかわかりますか?
またクイズかよ。最強のコンテンツ・・・? ね、ネコですか?
違います。
「イチゴのショートケーキですよ」
「なるほど」
西島さんのチョコレートパフェも貸してもらえませんか?
僕が発注をかけた、このチョコレートパフェですか?
これをテレビ局のヤローだらけのグループに投稿します。そうすれば、お腹を空かせたコイみたいにパクパクしながら寄ってきますよ。
三田さん、ワルですね。
「あんたも共犯なんですよ」
重ね重ね怖い・・・。
『今お台場でチョコレートパフェとイチゴのショートケーキ食べてるけど食べに来ない?』
これで、ペキカンですね。
はい、あとはゆっくりケーキとパフェを楽しみながら待ちましょう。
-30分後
どうしました三田さん、顔色が悪いですよ。
「キドクムシ・・・」
三田さん・・・。もう、あきらめましょう。そんな三田さん、私はもう見たくない。
・・・。
きっと、誰がやってもダメだったんですよ。たぶん綾野剛でも呼べなかったんじゃないかな。
・・・ぐすん。
行こう、三田さん。負けたことがあるというのがいつか、大きな財産になります。
どうもと・・・いや、にしじまかんとく・・・。
私、次の仕事が東京タワーのそばなので赤羽橋あたりまでお送りしますよ。
・・・お願いします。
東京タワーのふもとに移動。三田さんはなぜか赤羽橋で降りずについてきた。
三田さん。今日はお疲れさまでした。ここで解散ということで。
その顔、まさか・・・。
こ、こいつまだ、あきらめてない・・・。
慶應卒、財閥系総合商社勤務、実家は成城の戸建て、家は西麻布のタワマン、小物はボッテガ、キーホルダーもボッテガの男、三田はついに帰って行った。これ以上やっても自分のプライドを傷つけるだけ、ということをエリートの嗅覚で察知したのだろう。
そう、それほどに。「スケジュール調整の鬼」である三田があきらめざるを得ないほどに、平日の友達とのスケジュール調整は難しいのだ。
誰だってできないだろう、きっと福士蒼汰だって、坂口健太郎だってできないはずだ。テクノロジーの力を借りたりしない限りは・・・。
ちょ、待てよ。て、テクノロジー!? そうだその手があった! 人類が産み出したデジタルテクノロジー、アプリだ!
今空いている友人を、位置情報をもとに即座に発見し「フリックだけ」で気軽に誘える、再会系アプリ「knocker」だ!!
これを使えば、これをダウンロードしてさえいれば三田はきっと「位置情報」と「通知機能」でサクッと友達と会えたはずだ。こんなにも彼が傷つくことはなかったはずだ。慶應卒、財閥系総合商社勤務、実家は成城の戸建て、家は西麻布のタワマン、小物とキーホルダーはボッテガ、外車の後部座席にはティッシュを欠かさない彼のプライドが、こんなにも傷つくことは、なかったはずなんだ・・・。
三田、三田よ、いつか戻ってこい。いつか戻ってこいよ、「knocker」をダウンロードして・・・。
晴子さん、、おれ、、、アプリが大好きです。
Fin
[広告主]ディライトクリエイション
[編集]街角のクリエイティブ編集部
[ライター]西島知宏