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TO WHO【連載】ひろのぶ雑記

田中泰延 田中泰延


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痛風を発症した。足の指が、痛いのである。
 

タナカは痛風になった。必ず、かの邪智暴虐の尿酸を除かなければならぬと決意した。タナカには原因がわからぬ。タナカは、無職である。法螺貝を吹き、一輪車に乗り暮して来た。けれども激痛に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明タナカは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のシラクスの市にやって来た。
 

走れタナカ。
 

いえ、無理です。走るどころか足の指が痛すぎて歩くのもできません。
 

とにかく、痛い。今までも何度か痛風発作に見舞われたことがあるが、今回は人生で味わったことのないレベルで痛い。「風が吹いても痛いから痛風」などというが、風なんか吹かなくても十分に痛い。医師に処方された薬の量を見て卒倒した。親知らずを抜いた時に処方された痛み止めと同じものなのだが、服用量はその3倍だ。抜歯した時の3倍の鎮痛剤を飲んでもまったく効かない。
 

代わりに意識だけが朦朧としてくる。1時間おきに氷水に足を浸けて冷やす。右足の親指から甲にかけて腫れていて、靴はおろか、室内用のスリッパも履けないぐらい膨れ上がっている。松葉杖なしでは歩けないし、基本、出歩くことを諦めた。なんとか寝ても痛みで変な時刻に目が醒める。
 

昔、腕を何針も縫う怪我をした時は「痺れ」が起こり痛みが遠のいた。シベリアンハスキーに噛まれて犬の上下の歯が私の腕の中でカチリと合わさったこともあったが、その時も痺れの感覚だけがあって痛みがなかった。大怪我をしたら麻薬物質みたいなものが分泌されるのか、脳が痛みを軽減するようだ。だが痛風には救いがない。先月から悩んでいた五十肩の痛さがどうでもよく感じられることだけが良かった。
 

まぁ、黙っていればいいのであるが、あまりの痛さとなんにもできなさで、できることはツイッターぐらいである。そこで「痛風だ痛風だ 足の指痛い痛い」と何度か書き込んだところ…
 

…驚くべき量のあざけりが飛んできた。びっくり蟯虫ぎょうちゅうだ。間違えた、びっくり仰天だ。いや、心配してくださる方も多かったのだが、それを上回る量の半笑いと批判にさらされた。サラサーティコットン100おりものシートぐらいさらされた。
 

いわく
 

「ビール飲み過ぎ」
 

「不節制だからそうなる」
 

「牛乳飲め」
 

「もっと痛がれ」
 

「デブが」
 

「バルス」
 

後半三つぐらいは鎮痛剤で朦朧とした意識の中でスマホの画面に浮かび上がった幻覚だと思うが、とかく痛風は揶揄されがちなのである。いわく「生活習慣が良くない人がかかる病気」「酒飲みの罰」「ぜいたく病」などなど。
 

「痛風」なんて少し半笑いの俗称が病状をわからなくしているし、嘲笑の対象にされてしまうのだ。ビールどころか酒はほとんど飲まない。一滴でも飲んだらちゃんと文章が書けないので、今年に入って数回しか飲酒していない。それでも痛風発作になる。
 

痛風は、「関節結石」とでもいうものである。腎臓結石、尿管結石と痛風は同じ血中の尿酸によって起こる。どこに石ができるか場所の違いだけだ。腎臓結石で手術する人に「ビールガー」「ウニガー」「イクラガー」「プリン体ガー」と笑う人はいない。痛風の場合は、ひどい話だが、「足の指を痛がるのが面白い」から笑われるのだ。
 

医師に聞くと遺伝の要素がかなり強いという。体内の尿酸を処理できない代謝不全の性質が受け継がれる傾向が強いそうで、要するに言いたいのは
 

おれのせいじゃない

 

ということだ。痛風も、肥満も、みんな遺伝のせいだ。あとウィルスのせいだし、世界を支配する組織イルミナティの陰謀だし、その指示を出しているのは宇宙人に決まっている。
 

ああ、とうとう本当のことを書いてしまった。やっぱり元凶は宇宙人だ。本当のことを書いたら消されるかもしれないが、書いたらすっきりした。すっきりした勢いで生活習慣を見直してダイエットします。お父さんのせいにしてすみませんでした。ウィルスさんすみませんでした。ウィル・スミスさんすみませんでした。宇宙人さんすみませんでした。
 

生活習慣も問題だが、忙しすぎる環境に自分を置くのもよくない。なんだか新しいことを始めすぎて、またいろいろ滞りすぎてストレスになっているのも事実だ。先週は自分でもわけがわからないぐらいバタバタしていた。
 

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大阪でビジネスプランナーの安西洋之さんとお会いして
 

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その夜には東京で指南役さんのお引き合わせでホイチョイ・プロダクションズの馬場康夫監督とお話させていただき、
 

翌日は京都で学生さんを取材した記事を書き、
 

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また翌日からは東京で占い師さんにインタビューする番組を8時間も収録し
 

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その翌日は澤本嘉光さん、権八成裕さん、中村洋基さんのラジオに出演し
 

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同じ日の夜には糸井重里さん、燃え殻さんや大根仁さんに話を伺うという
 

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いや、なんだかまるで有名人が来たらすかさず写真を撮って店に飾るラーメン屋の店主みたいな感じだけど、もうなにがなんだか緊張しっぱなしの一週間だったのである。
 

そんななかでさらに親族が亡くなったりして、心労がピークに達した時、痛風が襲ってきた。
 

これはいろんな意味で身体からのメッセージだと思う。故人からのメッセージだとも思う。宇宙人からのメッセージだとも思う。ほんとに、いろいろ生活を見直します。
 

1ヶ月以上も前に「ぜひ書きたいです」と言って、この街角のクリエイティブに載せると約束をしたマキシマム ザ ホルモンのライブリポートもまだできていません。亮君ごめんなさい。遅くなっても必ず書きます。
 

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しばらく休養を、と言いたいところですが8月にはいろいろトークイベントが4つもあって、なんとか車椅子や松葉杖で登壇することのないよう、治癒に努めます。来てくださるお客様、元気に会場でお会いしましょう。みなさんよろしくおねがいします。
 

ああ、先週休んだ上に雑記もいいとこだった。宇宙人のせいです。
 

【過去5回の「ひろのぶ雑記」はこちら】
ヒマジン オール ザ ピーポー
カウボーイも筆の誤り
鯉は遠い日の鮑ではない
モノより重いで。
地下室のメロディー

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