旅するように暮らしたい。そんな風に考えたことはないだろうか。お気に入りの服を並べたクローゼット、思う存分に本をしまっておける本棚、ちょっとずつ集めたマグカップが顔を揃える清潔なキッチン。休日ならば昼過ぎまで自分を包んでくれることもある、肌に馴染んだ寝具たち・・・。モノを持つことは楽しい。住まいをデザインすることは、人生をデザインすることと似ているから。
だけど時々、そうして集めたモノたちが、途方もなく重たいと感じる瞬間もある。全てを捨てて、身一つで暮らしてみたい。現在25歳の北畑淳也さんは、昨年7月末から現在までの約10ヶ月間、「家を持たない」生活を続けている。
「家なし生活」って、どういうこと?
岡田
こんにちは、ライターの岡田です。泣きながら原稿を書いてボツを食らったりしている32歳です。
北畑さん
こんにちは。北畑淳也です。都内で営業職をしつつ、家なし生活をしています。1週間おきに、都内のゲストハウスやホステルを渡り歩きながら暮らしています。
さっそくですが、ゲストハウスはどうやって探しているんですか? Airbnbとか?
Airbnbも見ていますが、Booking.comとかトラベルコとか、旅行サイトを使うことの方が多いですね。そちらの方が、情報が網羅的なので。よく行くのは「IRORI HOSTEL and KITCHEN」というゲストハウスで、そこでは顔なじみになっているので、行くとほっとするような感覚がある。
いまHP見てますけど、めちゃくちゃオシャレですね。「家なし生活」から想像する、味気ないイメージが覆される・・・。
そうですね。家を持たない暮らしは本当に快適ですよ。まず、賃貸生活につきものの、敷金礼金とか更新料といった出費がなくなるので、その日に支払うお金が、住まいに必要な全額になる。これはすごくシンプルで気持ちがいい。それから、水道代・光熱費の心配からも解放された。自分が何にお金を使っているかが、目に見えやすくなった。
なるほど・・・。話が前後しますけど、北畑さんと私は読書会で知り合ったんですよね。北畑さんが毎週開催している「「古典は古い本」ではなく現代に生きていることを知る読書会」っていうイベントで。まずタイトルがすごいですけれども。読書活動に必須の本って大量にあると思うんですけど、それはどうしているんですか? どっかに預けたりしている?
全部Kindleに移行しました。一部、電子化して売られていない本については手元に持っています。それが持ちものの全てです。